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コンピュータ将棋研究Blog

Twitterアカウントsuimon@floodgate_fanによるコンピュータ将棋研究ブログです。

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NineDayFeverの戦いの絶対感覚①

floodgate 中盤 横歩取り

はじめに

「―の戦いの絶対感覚」シリーズは河出書房新社から1999年~2003年の間に発刊され好評を博した。

ラインナップは、発刊順に

佐藤康光の戦いの絶対感覚 (最強将棋塾)

森内俊之の戦いの絶対感覚 (最強将棋塾)

羽生善治の戦いの絶対感覚 (最強将棋塾)

谷川浩司の戦いの絶対感覚 (最強将棋塾)

となっている。

著者は佐藤康、森内、羽生、谷川というトップ棋士4人によって書かれており、その内容はプロの思考が細かく記されている名著として名高い。

しかし、このシリーズは2003年を最後に続編が発刊されていない。

そこで約14年の歳月を経て、私がコンピュータ将棋を題材としてこのシリーズの形式で執筆してみようと思い立った。

私にとってもこれは新たな挑戦である。

第一弾はNineDayFever。それでははじめていきたい。

テーマ1 安全圏への脱出

f:id:fg_fan7:20170304155549p:plain

横歩取りの中盤戦。現局面は先手玉に詰めろがかかっている。

まずはその詰めろを振りほどく手段を考えなければならない。

うまく後手の攻めをいなして反撃に移りたいところだ。

参考棋譜

NineDayFever_XeonE5-2690_16c vs. GPSFish-WCSC24 (2014-05-12 01:30)

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まずは何はともあれ、△3八飛▲5九玉△5八金の詰めろを防がなくてはならない。

しかし、▲3九同玉と取るのは△5八飛▲4八角△2八金▲4九玉△7八飛成(下図)f:id:fg_fan7:20170304161156p:plain

となり、いっぺんに先手が負けになる。

また▲2二飛と打ち、合駒を使わせようとしても△4二金(下図)

f:id:fg_fan7:20170304161744p:plain

と引き、後手は駒を使ってくれないので依然として先手玉の詰めろは解消されないままだ。

テーマ図では▲5八玉△4九と ▲6八玉(下図)と左辺に逃げ込むのが得策である。

f:id:fg_fan7:20170304162109p:plain

この3手により、先手の働いていなかった左辺の金銀が守り駒として機能し始めたのが感じられると思う。

これで先手玉の詰めろも解消することができた。

上図で△8三金と▲7三角成を防いできたならば、そこで▲2二飛と攻めに転じる。

以下、△4二飛▲7三角成△同金▲2一飛成(下図)

f:id:fg_fan7:20170304162737p:plain

としておけば、玉の安全度は先手のほうが高いので先手優勢となる。

本譜は△2八飛 ▲7九玉 △5五桂 ▲5六銀 △5九と ▲7七銀(下図)と進んだ。

f:id:fg_fan7:20170304163143p:plain

GPSfishの△5五桂、△5九とはともに詰めろだが、NineDayFeverはそれぞれ▲5六銀、▲7七銀と丁寧に受ける。

上図で後手の攻めは息切れしはじめてきたのが明らかになった。

仕方なく、上図で△8三金と受けたが、以下、 ▲2二飛 △4二金 ▲2三歩成 △8四金 ▲3三と(下図)

f:id:fg_fan7:20170304163654p:plain

と進み、NineDayFeverの勝勢となった。

あとは自然に攻めていけば勝ちとなる。

NineDayFever流分析

テーマ図は先手の左辺の金銀が働いていないが、ここに逃げ込めば勝ちが見込める。

攻めを焦らず、相手の攻めが息切れしたのを見計らってから反撃をすればいいのである。この将棋から、攻守の切り替えのタイミングを吸収してほしい。

 

【コラム】定跡からの解放宣言

コラム

最近気になっていることがあった。

それは、
「将棋の指し手って何をもとにして選ばれているのだろう?」
というものだった。

「プロの実戦や出版された書籍の手順にそって指すのがはたして本当なのだろうか」という疑問が湧いてくるのだ。

数ヶ月前からこのことがずっと気にかかっていた。

最近も、とあるアマチュアの方と会話していた時、その方が「先手中飛車に対する角道保留急戦は別にそんなに良くない」と言っていたのだ。
その時、私は「ああ、この方はあの本に書かれている結論をそのままをうのみにしているのだな」と思った。
数年前ならそれでもよかったが、今の時代は定跡書や研究書に書かれている結論をうのみにするのは危険だと思っている。

それだけで将棋の持っている大きな可能性を自分から狭めているように感じられてしまうのだ。

「なんで、もっといろいろな可能性を掘り下げないのだろう?」
と思う。
そして、「定跡」に指し手を委ねられていることが当たり前になっていることに疑問を覚えた。

はたして序盤戦術は「定跡」を介さないといけないのだろうか?

コンピュータ将棋が急速に強くなり、上位フリーソフトも公開されるようになり、誰でも強力なソフトというパートナーとつながれる時代となった。
ならば、「定跡」を介さずとも、ソフトを研究パートナーとすることでいろいろな序盤を模索するのも悪くないんじゃないか。
実際、私は「クルクル角」という対振り飛車の戦法は、フリーソフトのSILENT_MAJORITYと練習対局をしていた時に指されて発見した。

将棋にはまだまだ私たちが知らない可能性があるのではないか?

最近では、千田六段が公式戦の初手で意欲的な試みをしている。
それらの指し手は決してソフトの評価値も悪くないのである。

この記事を読んだ人が1人でも既存の「定跡」から離れ始め、自由に将棋を指す方向に進んでほしいと思っている。

確実に時代は進んでいる。
私は変化を楽しみたいし、変化しようと模索している人が好きだ。

本記事は定跡からの解放宣言である。

 

コンピュータ将棋最新情報(2017/02/27)

コンピュータ将棋ソフト情報

コンピュータ将棋に関する最新情報のまとめ

SILENT_MAJORITY1.24公開

https://github.com/Jangja/silent_majority/tree/1.2

1.23からの主な変更点は

sf170225、ストックフィッシュの最新版を反映している。

導入方法はSILENT_MAJORITY_◯◯.exeを浮かむ瀬の実行ファイルと同じ場所に配置するのがわかりやすい。

公開されたばかりであるが、すでに有志による強さの検証は始まっている。

今後の動向に期待だ。

スマホ読み太公開

http://shogidroid.siganus.com/engines.html

↑のリンクから半自動ダウンロードが可能。

64bitのみ、搭載メモリ3GB以上推奨なので注意。

上のスペックを満たしていても端末によっては動作が重く感じられる場合があるのでその時はThreadsを下げることで対応しよう。

まふ定跡ver9(SILENT_MAJORITY版)公開※期限2017/03/16 22:00まで

https://www.axfc.net/u/3776576

DLキーワード ppap

↑のリンクから期間限定でダウンロードできる。

※ダウンロードしたファイルをAndroid端末で解凍する場合は「7Zipper」というアプリがオススメです。
まふ定跡とはコンピュータ将棋に大変詳しいまふさんが技巧の定跡を整備するために始められたプロジェクトだが、SILENT_MAJORITYや浮かむ瀬で使えるバージョンも公開されている。

バージョンアップごとに細かい改良がなされており、(詳しくはダウンロードした中にある、更新履歴を参照)今回の定跡も強力なものとなっている。

uuun氏のサイトに検証結果が掲載されている。

http://www.uuunuuun.com

序盤研究に興味のある方はダウンロードしてみるといいだろう。

第2期電王戦

対局日程、 対局会場及びPVが公開された。

詳細は↓のリンクから。

http://denou.jp/2017/

このブログでも対局の展望、当日の実況記事を公開していく予定だ。

電王PONANZAに勝てたら
[最高]賞金300万円!!

今年もアマチュアが将棋電王トーナメント優勝ソフトPONANZAと対戦するイベントが3/11、12に開催される。

詳細は↓のリンクを参照。

http://denou.jp/million2017/

今年は参加者の皆様に、今までになかった「チャンス」が与えられます。

との事だが、詳細ルールは当日発表となっている。

まとめ

PC及びスマホでの最新バージョンのソフト公開、 最新定跡の公開、電王戦それに関連するイベントとコンピュータ将棋にも続々と情報が入ってきている。

また新たな動きがあれば記事にしていきたい。

ponanza流次の一手問題集②

floodgate ponanza流

はじめに

ponanza次の一手シリーズの第二弾。

↓前回

www.fgfan7.com

出題形式は前回と同じである。ではさっそく始めていきたい。

第1問

BlunderXX_4c vs. ponanza-990XEE (2013-01-16 22:00)

f:id:fg_fan7:20170225140535p:plain

先手四間飛車、後手居飛車穴熊の将棋で後手優勢で迎えた終盤の局面。

わかりやすく決めてほしい。

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【第1問解答】△4六角(解答図)

f:id:fg_fan7:20170225141013p:plain

後手陣は堅陣なので角1枚渡しても問題はない。

ここは△4六角と切ってしまうのがわかりやすい勝ち方。

以下、▲同 香 △4八金 ▲2五銀 △3九銀 ▲1七玉 △4九龍 ▲1四銀 △3八金

(下図)と進み、寄り形となった。

f:id:fg_fan7:20170225141342p:plain

第2問

BlunderXX_4c vs. ponanza-990XEE (2013-01-16 15:00)

f:id:fg_fan7:20170225142100p:plain

後手ponanzaの横歩取り△3三桂戦法の将棋。

上図は中盤の局面だが、直前の▲6四歩が疑問手。

これをとがめる手を考えてみてほしい。

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【第2問解答】△8六金(解答図)

f:id:fg_fan7:20170225142358p:plain

△8六金打が先手陣の欠陥を突いた一手となった。

これは取るしかないが、以下▲同 飛 △7七角成 ▲6八角 △8六馬 ▲6三歩成 △同 銀 ▲8六角 △8九飛 ▲6九飛△8六飛成(下図)となれば駒得に成功。

f:id:fg_fan7:20170225142720p:plain

陣形の安定度の差もあり、後手優勢が明らかになった。

第3問

ponanza-990XEE vs. Gekisashi_X5590_1c (2013-01-17 06:30)

f:id:fg_fan7:20170225143844p:plain

先手銀冠、後手矢倉の将棋から攻め合い、上図は終盤の局面。

激指は自玉に詰みなしと考え△6二香と打ったが(以下読み筋は▲8九金打)、

上図の局面は後手玉に詰みが生じている。

ponanzaはそれを見逃さなかった。

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【第3問解答】▲6二同龍(解答図)

f:id:fg_fan7:20170225144255p:plain

▲6二同龍が英断の一手。これは詰まさないと先手負けになる。

以下、△同 角 ▲3三桂成 △同 玉 ▲4五桂 △3二玉 ▲3三歩 △4一玉
▲5三桂打 △同 角 ▲同桂不成(途中図)

f:id:fg_fan7:20170225144528p:plain

△5二玉 ▲4一角 △6二玉 ▲5一角 △7一玉 ▲6一桂成 △8一玉 ▲6三角成 △7二桂 ▲8三香 △8二銀 ▲7一成桂
△同 玉 ▲6二金 △8一玉 ▲7二馬(下図)と進んで後手投了となった。

f:id:fg_fan7:20170225144616p:plain

第4問

YssL540_1c vs. ponanza-990XEE (2013-01-21 12:00)

f:id:fg_fan7:20170225145641p:plain

先手四間飛車穴熊、後手銀冠→玉頭位取りの将棋から中盤の局面。

現局面は角取りになっているが果たしてこれは受けるものなのだろうか?

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【第4問解答】△8九飛成(解答図)

f:id:fg_fan7:20170225145938p:plain

角取りを放置して△8九飛成が好判断となった。

以下、▲9三飛成 △2六歩 ▲2四香 △2三香 ▲同香成 △同 銀 ▲3八金 △7八龍
▲3九香 △7七龍(下図)と進んで駒損の回復に成功した。

先手陣は2筋に爆弾を抱えているのでここを集中して攻めていけば勝利に近づく。

f:id:fg_fan7:20170225150139p:plain

途中の△2六歩が穴熊の急所を突いた一手で対振り飛車穴熊では頻出の筋なので覚えておくとよいだろう。

まとめ

今回は計4問を出題した。

ponanzaは一瞬の隙を見逃さない。

この姿勢は我々人間も実戦で身につけていきたいものである。

次回に続く

ponanza流次の一手問題集➀

floodgate ponanza流

はじめに

今回の記事には次の一手問題を出題するために、ある仕掛けがなされている。

↓の表示するボタンをクリック(タップ)してみてほしい。

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テスト

このように答えを隠す仕掛けを実装することができた。

この仕掛けを使って今回から不定期で次の一手問題を出題していきたいと思う。

今回の仕掛けの実装には↓の記事を参考にさせていただいた。

www.yukihy.com

ではさっそくはじめていきたいと思う。

第1問

ponanza-990XEE vs. PuppetMaster (2013-01-14 22:30)

f:id:fg_fan7:20170218125347p:plain

ponanza先手で相矢倉から先攻した将棋。

上図はPuppetMasterが△2三歩と打ち、馬取りを催促した局面。

ここで攻めの継続を図る手段は?

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【第1問解答】▲3三歩(解答図)

f:id:fg_fan7:20170218132001p:plain

馬を逃げずに▲3三歩と打つのが攻めの継続を図る好手。

実戦は以下、△同 桂 ▲同 馬 △同 金 ▲4五桂 △4四銀打 ▲3三桂成 △同 銀 ▲5四金(下図)

と進み、攻めが繋がった。

f:id:fg_fan7:20170218132129p:plain

第2問

ponanza-990XEE vs. BlunderXX_4c (2013-01-14 22:00)

f:id:fg_fan7:20170218140627p:plain

ゴキゲン中飛車対丸山ワクチンで始まった将棋で終盤の局面。

後手が△5二金と飛車取りに金を引いたところだ。

ここで強手がある。

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【第2問解答】▲8三銀(解答図)

f:id:fg_fan7:20170218141143p:plain

玉頭に▲8三銀と放り込んだのが強手となった。

これに対して、△同金なら▲5二飛成がぴったりになる。(△同銀には▲7二金まで)

実戦は、△同 玉 ▲8一飛成 △7三玉 ▲6一銀 △8二金打
▲7二銀成 △同 金 ▲7五歩 △8三銀 ▲7四歩 △同銀左 ▲7五桂

(下図)と進み、先手が押し切った。

f:id:fg_fan7:20170218141456p:plain

第3問

ponanza-990XEE vs. Mark.07 (2013-01-15 19:30)

f:id:fg_fan7:20170218142419p:plain

後手の一手損角換わりから先手が棒銀で仕掛けた将棋の中盤の局面。

ここで攻めの継続を図る好手がある。

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【第3問解答】▲5五桂(解答図)

f:id:fg_fan7:20170218142957p:plain

▲5五桂がぴったりの一手だった。△同銀は▲4三馬、△4二金は▲2五馬がある。

実戦は△3二飛成と最善を尽くしたものの

以下、 ▲4三桂不成△同 銀 ▲5一馬 △4一桂 ▲4二香 △同 龍
▲2一金 △3二玉 ▲2二金 △3三玉 ▲2三金 △同 玉 ▲4二馬

(下図)と進み、先手勝勢となった。

f:id:fg_fan7:20170218143339p:plain

第4問

ponanza-990XEE vs. Mark.07 (2013-01-15 11:00)

f:id:fg_fan7:20170218144452p:plain

後手の一手損角換わりから相腰掛け銀になり、先手が先行した将棋。

図の局面は先手から攻めの糸口がないようだが、よく見ると攻めを継続する手順がある。考えてみて欲しい。

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【第4問解答】▲7一銀(解答図)

f:id:fg_fan7:20170218144911p:plain

▲7一銀が後手陣一瞬の隙を見逃さない一手だ。

△9二飛なら▲8三角、△8四飛なら▲8二角で攻めが続く。

本譜は△8一飛 ▲6一角 △6三銀 ▲5二角成 △同 銀 ▲8二金 △7一飛 ▲同 金 △7五歩 ▲7二飛(下図)と進み、先手優勢となった。

f:id:fg_fan7:20170218145532p:plain

第5問

ponanza-990XEE vs. kuma2_test_nomate_1c (2013-01-15 16:00)

f:id:fg_fan7:20170218150617p:plain

居飛車対振り飛車の対抗形からponanzaが力戦で戦った将棋で終盤の局面。

ここで攻めの急所となる一手がある。

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【第5問解答】▲8四歩(解答図)

f:id:fg_fan7:20170218150816p:plain

▲8四歩が盤上この一手となる急所の攻めとなった。

これに対して△同歩と取ると、▲8三歩の追撃が厳しい。

本譜は△6一金 ▲8三歩成 △同 金 ▲1一龍 △1九馬 ▲8四歩 △同 金 ▲8七香 △8五歩 ▲同 香 △同 金 ▲8三歩 △同 玉 ▲8五桂(下図)と進み、寄り形となった。

f:id:fg_fan7:20170218151128p:plain

第6問

ponanza-990XEE vs. kuma2_test_nomate_1c (2013-01-15 08:30)

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後手の右玉に対して先手が速攻をしかけた将棋の中盤戦。

先手の▲8八角が現状、壁角になっているためここで何かひねり出さなければ先手が苦しくなりそうだ。ponanza流の一手は?

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【第6問解答】▲8二銀(解答図)

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▲8二銀が豪快な一手。△同飛なら▲4一飛成が次の▲7一角をみて厳しい。

また、△3一飛、△2一飛なら▲3四飛と寄っておけば▲8二銀のくさびが残るので成功と言える。

本譜は△4四金 ▲8一銀不成△2八飛 ▲6八金 △4二金左 ▲8二角 △2九飛成 ▲9一角成 △1九龍 ▲9二飛 △7二香▲8二馬 △6一銀 ▲9一飛成 △4九龍 ▲8六香

(下図)と進み、右玉の攻略に成功した。

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まとめ

今回は2013年1月にfloodgateで指されたponanzaの将棋から6局をピックアップし、次の一手問題として出題した。

この頃のponanzaは今とは序盤の指し方は違うが、攻めの鋭さは相当のものである。

筋が大変よい将棋で参考になるものが多い。

また折を見て紹介していきたいと思う。

また、今後はこのような次の一手形式の記事をponanza以外のソフトでも紹介していけたらなと考えている。