コンピュータ将棋研究Blog

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ponanzaチャレンジへの道(後編~相居飛車)

前回 ponanzaチャレンジへの道(前編) - コンピュータ将棋研究Blogの続き。

戦型別にponanzaの傾向をチェックしていく。長くなったので相居飛車と振り飛車で分けることにした。

相居飛車

矢倉 

▲7六歩△8四歩▲6八銀からの出だしで始まる矢倉にはponanzaは急戦調の将棋で来ることが多い。しかもその作戦は多岐に渡る。

右四間飛車・△8五歩型、△6四歩型急戦、原始棒銀、△7三銀型急戦など。

 囲いは左美濃や△4二銀、△3二金、△3一玉、△2二角型を用いることが多い。

その破壊力は凄まじく、受けきるのはかなりの力量が必要と思われる。

有名なVerdict-ponanza戦の

http://www.shogidojo.com/kifu/ponanza/201512/21126907_1210_Verdict_2844_xo_ponanza_3443.kif

▲7六歩△8四歩▲2六歩△3四歩▲6六歩という手順から矢倉に組むのは有力かもしれない。

f:id:fg_fan7:20160227071735p:plain

進んで下図。

このような展開が挑戦者にとって最も理想の序盤戦と言えるだろう。

Apery_Twigの評価値は先手+375。

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角換わり

よく言われる、角換わり腰掛銀でponanzaが用いる▲4八金型△6二金型に対する対策が必要。その他にも早繰り銀を採用してくることが多い。

この戦型もponanzaが負けなしと挑戦者には厳しいデータが残っている。

相掛かり

A-Sky vs. ponanza-990XEE (2015-11-20 02:30) http://wdoor.c.u-tokyo.ac.jp/shogi/view/2015/11/20/wdoor+floodgate-600-10+A-Sky+ponanza-990XEE+20151120023003.csa

f:id:fg_fan7:20160227073316p:plain

中住まい△5二玉型。じわじわと先手が有利を拡大。そして着実に寄せていった。

よくなってからもあせらず着実に指していくことが大事だとわかる一局。

難しいが相掛かりは有力な作戦のひとつ。

横歩取り

比較的ponanzaの形が決まっている為、対策は立てやすい。また、ponanzaは横歩取りが多いので誘導もしやすいだろう。横歩取りのスペシャリストは一番力が発揮できる戦型と言えるかもしれない。(対人の流行形と指し手が似ている為)

Apery_Twigで棋譜解析させると序盤で先手に高めの評価値(+250くらい)が出る傾向がある。

http://www.shogidojo.com/kifu/ponanza/201512/21151383_1211_Honey_L_Days_2880_xo_ponanza_3448.kif

f:id:fg_fan7:20160227073554p:plain

しかしこのような早めの△6二玉には警戒する必要がある。

以下、下図のように進み角交換振り飛車のような展開になった。

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なお、横歩取りは第3回将棋電王トーナメント決勝でnozomiがponanzaに勝利している。

力戦

Apery_Twig_test vs. ponanza-990XEE (2015-11-17 19:00) http://wdoor.c.u-tokyo.ac.jp/shogi/view/2015/11/17/wdoor+floodgate-600-10+Apery_Twig_test+ponanza-990XEE+20151117190007.csa

ponanza独自の指し方として△7四歩取らせの指し方がある。

初手から▲2六歩 △8四歩 ▲7六歩 △6二銀 ▲2五歩 △3二金 ▲7八金 △8五歩 ▲7七角 △7四歩 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲7四飛

(下図)

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この指し方もApery_Twigで棋譜解析させると先手+250くらい。よって恐れることはないのだが、いかんせん定跡形ではない完全に力戦志向の将棋になるのでそういった将棋を好む人でないと厳しいかもしれない。

 

次回(最終回)は振り飛車編。近日中に更新する。