はじめに
現在の先手振り飛車のエース戦法といえば、中飛車と答える人が多いだろう。
従来の角道を止める指し方ではなく角交換を恐れない中飛車の出現により、振り飛車党の中飛車の採用率が激増している。多くの居飛車党の方が先手中飛車に苦労している話をよく聞く。
実際、棋書も先手中飛車目線の本が多く出版されているが、居飛車目線のものは少ないのが現状だ。
今回は最大の難敵が相手とだけあって攻略も簡単ではない。
そこで、何回かに分けて攻略法を探っていきたいと思う。
題材は本Blogではお馴染みとなった将棋ウォーズの2016Ponaの将棋から抽出した。
※将棋ウォーズ棋譜ダウンローダーで2016Ponaの棋譜を抽出し、Kifuexplで戦型判定、kifubaseでデータベース管理した棋譜の中から計112局を調べた。
対先手中飛車の初手からの解説
(初手からの指し手)
▲7六歩 △8四歩 ▲5六歩 △8五歩 ▲7七角(下図)
5手目まで進んだ局面だが、ここはすでに重要な岐路となっている。
多くの定跡書では△5四歩と指す変化が多いが本Blogでは推奨しない。
なぜなら、先手から▲5八飛以外にも▲8八飛と向かい飛車するのも有力手となり、この2つに対して居飛車は有力な対策を用意しなければならなくなり、非常に苦労が多いからだ。
この局面での2016Ponaの指し手は①△6二銀②△4二玉の二択に絞られる。
データベースで調べてみても他の指し手は指されていない。
どちらも指し手も意味合いは似ていて要は▲5五歩は突かせてもいいですよということである。
では手順を追っていこう。
(上図からの指し手)
△6二銀 ▲5八飛 △4二玉 ▲5五歩 △7四歩 ▲6八銀 △7三銀(下図)
6手目に①△6二銀②△4二玉どちらを選んでも上図の局面に合流しやすい。
この局面も重大な岐路となっている。
有力手は①▲5七銀②▲6六歩の二択。
①▲5七銀は以下、△6四銀 ▲6六銀と進み、いわゆる銀対抗と呼ばれる形になる。
②▲6六歩は以下、⑴△6四銀 ▲6五歩 △同 銀 ▲6七銀 △7二飛と
⑵△7五歩といきなり仕掛ける形になる。
実はこの変化は
糸谷&斎藤の現代将棋解体新書 (マイナビ将棋BOOKS)
のTheme26で糸谷八段と斎藤六段の見解が述べられている。
そこで糸谷八段は①▲5七銀の変化で後手の超速は難しいという見解を述べている。(下図)
また、斎藤六段は②▲6六歩の変化も先手有力で好みによって振り飛車側は①▲5七銀と②▲6六歩を選ぶのがよいと見解を示している。(下図)
居飛車党本格派の2人がこのponanza得意の指し方をなかなか難しいと評価しているが、本Blogではこの指し方を先手中飛車攻略のメインとして進めていきたい。
今回は最序盤の指し方を見ていったが非常に重要なところなので頑張って覚えて欲しい。
では次回からは具体的な2016Ponaの棋譜を見て、先手中飛車の攻略法をみていきたいと思う。
(その2に続く)
www.fgfan7.com
↓参考書籍
対先手中飛車の角道不突きの指し方が解説されている。