コンピュータ将棋研究Blog

Twitterアカウントsuimon@floodgate_fanによるコンピュータ将棋研究ブログです。

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続・とっておきの振り飛車退治~ponanza流銀冠穴熊~

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はじめに

以前に執筆したponanza流銀冠穴熊の記事は大きな反響があった。 

www.fgfan7.com

たくさんの方に興味を持っていただけたようで、プロ棋士の増田康宏四段にも興味を持っていただけたのを知ったときは嬉しかった。

記事を投稿したのが7月30日。そして増田四段が公式戦で衝撃の指し回しを見せたのが、9月12日の第58期王位戦予選、及川六段戦だった。

衝撃の一局

ここではその部分図を紹介する。(連盟モバイル中継に加盟したら、コメント付きで全棋譜を閲覧できます。)

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図は▲8八の角を▲6六角と上がった局面。▲7七角と上がると△6五桂が角銀両取りになるのでそれを避ける工夫の一着。

この一手はこの対局以前にTwitterで私のフォロワーの方が研究発表をしていた。

もしかしたら増田四段もこのツイートを見て、この戦法が有力だと感じ取ったのかもしれない。

f:id:fg_fan7:20161223111137p:plain

ここでの▲9八香は一見奇異に見えるが、理論に基づいた一手。

ここでもフォロワーさんのツイートが参考になる。

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万全を期して▲8八玉と入場する。この後、後手は△8五歩と仕掛けていったがこの将棋は先手の快勝だった。

この対局をキッカケにして後手の序盤の駒組みも工夫が求められるようになった。

(局面図再掲)

f:id:fg_fan7:20161223113624p:plain

新人王戦での対振り銀冠

さらに増田四段は新人王戦決勝三番勝負という大舞台でこの戦法を採用する。

2016年10月11日 決勝三番勝負 第2局 石田直裕四段 対 増田康宏四段|第47期新人王戦

(初手からの指し手)

▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩 ▲4八銀 △4二飛 ▲5六歩 △9四歩 ▲9六歩 △7二銀 ▲7八銀 △5二金左 ▲6八玉 △6二玉 ▲7九玉 △7一玉 ▲5八金右 △6四歩 ▲8六歩 △3二銀 ▲8七銀 △7四歩 ▲7八金 △3三角 ▲2五歩 △8二玉 ▲6六角 △6三金 ▲8八玉 △5四歩 ▲3六歩 △7三桂 ▲5七銀 △8四歩 ▲3八飛 △4五歩(下図)

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上述の9九に棲む熊さん (@ibishainochi)のツイートにもあったように後手は△3二銀のまま△4五歩と角交換を目指すのが一つの有力策。

この展開は互いに打開が難しい将棋になる。

(上図からの指し手)

▲7七桂 △6六角 ▲同 歩 △3三銀 ▲2八飛 △8三銀 ▲1六歩 △1四歩 ▲3七桂
△7二金 ▲4八金 △3五歩 ▲同 歩 △1五歩 ▲同 歩 △同 香 ▲同 香 △3六歩 ▲4五桂 △同 飛 ▲4六銀 △4二飛 ▲1一香成(下図)

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本譜は後手から△3五歩と仕掛けていく展開。先手は後手の手に乗って指し手を進め、▲1一香成の局面は先手やや指せる展開。本譜は以降激戦となり、最後は増田四段が鮮やかな長手数の即詰めに打ち取り、第47期新人王に輝いている。

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この戦法は序盤の駒組みが居飛車、振り飛車ともに難しい。

居飛車側の工夫としては序盤で後手に△4三銀型に強要させるのも有力か。

(参考図)

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また、右金の動かし方にも工夫が求められる。

△3二銀型での△4五歩からの角交換型は千日手模様が気になるが、細かい駒の配置によって成否が分かれそうだ。

その他にも、後手から早めの△8五歩の揺さぶりも先手にとっては懸念材料になっている。

まだまだ未知数なこの戦法、来年にはある程度体系化されるのではないかと思っている。

※その他参考棋譜

11/10第42期棋王戦挑戦者決定トーナメント、千田-森内戦

(連盟モバイル中継局)

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※本記事を執筆するにあたり、多くの研究熱心な方のツイートを参考にさせていただきました。ここに感謝します。 

※この戦法に対して新たな動きがあればまた記事にします。