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コンピュータ将棋研究Blog

Twitterアカウントsuimon@floodgate_fanによるコンピュータ将棋研究ブログです。

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衝撃の新事実!?一手損角換わり戦法の創始者は三浦九段だった

コラム 角換わり
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三浦九段に対する新たな情報が次々と入り始めてきている。

はてなブックマーク1000以上の↓のエントリーは必読の内容。

ironna.jp

私は三浦九段に対しての現在進行形の話題には触れない。

(他に適任者がいると思うので)

今回の記事ではタイトルのように、

「衝撃の新事実!?一手損角換わり戦法の創始者は三浦九段だった」

というテーマで書いていきたいと思う。

「お前は何を言い出すんだ?、一手損角換わりのウィキペディアをみろ」

と思った方もいるかもしれない。

実際、ウィキペディアには次のように書かれている。

後手番一手損角換わり(ごてばんいってぞんかくがわり)は将棋の戦法で、角換わりの一種。対戦成績表などでは、省略して単に一手損角換わりとも呼ばれる。 淡路仁茂が生みの親。2004年頃から盛んにプロ棋士が採用するようになった。2005年の名人戦(森内俊之に羽生善治が挑戦)では、7番勝負のうち2局でこの戦法が採用された(結果は1勝1敗)。淡路はこの戦法によって第33回(2006年)升田幸三賞を受賞した。

後手番一手損角換わり - Wikipedia

私がこのようなタイトルの記事を書くのには三浦九段が一手損角換わりを2004年以前に指していたという根拠があるからだ。

今からそれを説明していきたいと思う。

三浦九段は1999年度前期のNHK将棋講座で、「三浦弘行の速攻!振り飛車破り右四間完全マスター」というタイトルの講座の講師を務めていた。

三浦弘行 - Wikipediaより

この講座の内容をまとめた書籍も出版されている。

三浦流右四間の極意―四間飛車をやっつけろ

三浦流右四間の極意―四間飛車をやっつけろ

 

 さて、NHK将棋講座は毎月テキストが出版されているが、三浦九段の場合、テキスト講座の合間にコラムが挿入されていた。それはどれも興味深い内容なのだが、その中でもひと際興味深い内容のコラムがあった。そのコラムを引用する。

書いたのは観戦記者の木屋太二さん。

 三浦六段は研究家として知られている。1日10時間、将棋盤の前に座っていることもザラだそうだ。

新人王戦に優勝。その後、主催紙の企画でアマプロ平手戦が行われた。アマ強豪の先手で▲7六歩△3四歩▲2六歩△3二金▲2五歩△8八角成……。後手番で1手損。6手目の△8八角成は棋理にない手である。その棋理にない手を三浦六段は平然と指した。

「公式戦では未経験だが、手損の角交換でも十分指せると思う」と語る。アマプロ平手戦の将棋も、しっかりと勝ち切った。定跡を独自の視点で洗い直す三浦六段。新戦法を開発する日も近い?

木屋太二 NHK将棋講座テキスト 平成11年5月号 27pより

このアマプロ戦の対局は1998年12月5日に行われた、

第35回赤旗名人戦記念対局の伊藤和幸アマ対三浦弘行プロ戦である。

伊藤和幸 vs. 三浦弘行 第35回赤旗名人戦記念対局 - 無料の棋譜サービス 将棋DB2

(初手からの指し手)

▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △3二金 ▲2五歩 △8八角成

(下図)

f:id:fg_fan7:20170208210445p:plain

 このように6手目に一手損の角交換をしている。

現在の目では一つの戦法だが、当時の目では奇異に映ったに違いない。

伊藤アマも対局中は怪訝に思っただろう。

そして「許さん」とばかりに速攻を目指す。

(上図からの指し手)

▲同 銀 △2二銀 ▲7七銀 △3三銀 ▲3八銀 △6二銀 ▲2七銀 △1四歩 ▲2六銀 △6四歩 ▲1六歩 △6三銀 ▲6八玉 △7四歩 ▲1五歩 △同 歩 ▲同 銀 △同 香 ▲同 香 △1三歩 ▲1九香(下図)

f:id:fg_fan7:20170208210830p:plain

伊藤アマは一目散に棒銀で攻めた。しかし上図は後手も戦える形勢である

上図の局面はSILENT_MAJORITY1.23の検討では

*検討 候補1 時間 01:16.9 深さ 24/46 ノード数 203431756 評価値 -308(後手やや有利)

となった。

しかしこの一手損角換わり戦法は流行戦法にはならなかった。

その理由を考察してみると、

・実戦はその後形勢が難しくなり(一時先手勝勢になった)、この将棋1局では戦法そのものが評価されなかった。

f:id:fg_fan7:20170208213303j:plain

図の局面は終盤で114手目△5七成銀としたところ。

ここで▲4三香成△6二玉(△同桂は▲4四角打)▲4四角打 △6一玉▲5二成香△同 玉▲7一角成としていれば先手勝勢だった。 評価値 5344。

本譜は▲3一角とした為、△6二玉と引いて後手の逆転勝ちとなった。

また他の理由として

・序盤早々に一手損するという感覚が受け入れられなかった。

のではないだろうか。

その後、しばらくこの戦法は音沙汰がなく、2003年6月10日の順位戦、神崎-淡路戦をさかいに注目を集めていくことになる。

神崎健二 vs. 淡路仁茂 第62期順位戦C級1組01回戦 - 無料の棋譜サービス 将棋DB2

もし、伊藤アマ対三浦プロ戦の将棋の内容が後手の快勝に終わっていたのなら、すぐに流行が始まり、一手損角換わりの歴史は変わっていたのかもしれない。

それくらい、結果もそうだが内容というのも大事なのかもしれないと今回この記事を書いていて思った。

+++++++++++

本記事執筆にあたってのスペシャルサンクス→名無し名人様。情報提供ありがとうございました。

一手損角換わり戦法の参考書籍

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