コンピュータ将棋研究Blog

Twitterアカウントsuimon@floodgate_fanによるコンピュータ将棋研究ブログです。

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【コラム】3つのジャンル別 棋譜鑑賞をする際のポイント

 

はじめに

現在はスマホやそれに付随するアプリの普及により、今までよりも手軽に棋譜鑑賞ができる時代になりました。

私が毎日リアルタイムで更新される棋譜を鑑賞する際に心がけているポイントを、

・人間対人間(連盟モバイルアプリ)

・人間対ソフト(将棋ウォーズ2016Pona)

・ソフト対ソフト(floodgate)

の3つのジャンル別に紹介していきたいと思います。

人間対人間(連盟モバイルアプリ)

連盟モバイルアプリでは毎日、主に10:00から5局前後のプロ棋戦が中継されています。

ほぼリアルタイムで指し手が鑑賞できるので加入している方も多いと思います。

このモバイルアプリを見る際のポイントを私なりに説明します。

序盤戦術に注目する

熱心な将棋ファンであればそれぞれの棋士の棋風や戦型選択の傾向を熟知していると思います。

そういった背景を理解していると、序盤戦術における少しの変化にも気づきやすいです。

最近はソフト流の指し方を取り入れる棋士も増えてきているので、数年前よりも戦型の予想は外れることが増えてきました。

観る将棋ファンの方も大まかでいいのでソフトの序盤戦術の傾向を知っておくと、より今のプロ棋戦を楽しめると思います。

消費時間に注目する

連盟モバイルアプリは指し手の消費時間も細かく表示されています。

例えば、序盤であまり時間を使っていない棋士がいた場合それは事前に研究済みである可能性が高いです。

逆に序盤から多く時間を使っている場合は想定から外れていたり、一手一手が勝敗に直結する重大な局面であると予想されます。

あまり棋力の高くない方は一手ごとに中継記者の方による解説コメントを参照すると理解しやすくなると思います。

人間対ソフト(将棋ウォーズ2016Pona)

次に人間対ソフトをみていきます。

私がこのジャンルを見るのは将棋ウォーズの2016Ponaの将棋が圧倒的に多いです。

その理由としては、

・2016Ponaは入手できる将棋の棋譜の中でも参考になるポイントが多い(特に序盤)

・今まで将棋ウォーズで2016Ponaが指した将棋は4500局近くあり、幅広い戦型の棋譜が見れる

などが挙げられます。

独創的な序盤戦術

2016Ponaの将棋は序盤から今まであまり見なかった構想が多いです。

特に今まで定跡党だった方には目からウロコの構想が多いので新たな発想のヒントを得るには最適だと思います。

相居飛車のみならず、対振り飛車でも参考になる構想が多いので多くの将棋ファンが参考になるはずです。

ソフト対ソフト(floodgate)

最後にソフト対ソフトの将棋についてです。

ソフト対ソフトの将棋を見る際に手軽なアプリはiOSの場合は「floodgate」アプリ、

Androidの場合はfloodgate公式サイトの棋譜一覧から「ぴよ将棋」や「ShogiDroid」で鑑賞するのがオススメです。

このfloodgateも30分毎にリアルタイムで様々な強さ、棋風のソフトが対局を繰り返しています。

戦型の傾向

本記事ではレート上位同士のソフトの対戦を想定して書いていきます。

最近のfloodgateにおける戦型の傾向としては横歩取り、角換わりが依然として多い傾向にあります。

これはソフト用の序盤定跡で優秀とみられている「まふ定跡」の影響や、そもそも初手からソフトに思考させた場合でも横歩取り、角換わりに進むことが多いことに起因しています。

初手から思考させると待ち時間が減ってしまい中終盤でミスが出てしまいやすくなるので、強力な序盤定跡を搭載して時間の節約や少しでも序盤戦で評価値を高くできるように苦慮されているわけです。

そんな中でも振り飛車を指すソフトもいます

そういったソフトは名前に「furibisya」と入っているので見つけるのも容易でしょう。

またそういった振り飛車専門のソフトはレートの高いソフトが多いので棋譜の質も非常に高いです。

よって居飛車対振り飛車の対抗形の将棋や相振り飛車の将棋も指されていたりします。

指される将棋の特徴

floodgateで指される将棋は上位同士の対局の場合、互いに大きなミスが出にくいので中盤戦以降も形勢が均衡した将棋が多くなる傾向にあります。

対局中のソフトによる自己形勢判断(評価値)も一手ごとにわかるので参照するとよいでしょう。

またfloodgateは待ち時間が短いので終盤での時間切迫による逆転も起こるときがあります。

これは自分が対局する際の逆転のテクニックを学ぶ題材として有益となるので終盤まで形勢が拮抗しているfloodgateの将棋は最後までみてみるのをオススメします。

たまにサプライズがあるかも?!

floodgateは基本的に将棋電王トーナメントや世界コンピュータ将棋選手権前に調整の意味で放流する開発者の方が多いです。

よってそれらの大会前はいつもよりfloodgateは注目されます。

過去の例としては技巧が突如現れた時は大変盛り上がりました。

また、最近はfloodgateでは見る機会が極端に減ったponanzaやNineDayFeverといった強豪ソフトも世界コンピュータ将棋選手権前にはちょろっと姿を現わすかもしれません。

そういったサプライズも楽しむのもfloodgateの醍醐味の1つです。

まとめ

今回は

・人間対人間(連盟モバイルアプリ)
・人間対ソフト(将棋ウォーズ2016Pona)
・ソフト対ソフト(floodgate)

の3つのジャンル別に私が棋譜鑑賞をする際に意識しているポイントを紹介しました。

これら3つはそれぞれいいところがあります。

それらのいいところに着目して棋譜を鑑賞するとより将棋が楽しめますし、棋力アップにも繋がると思います。

便利な時代なのでいい教材はたくさんあります。

楽しみながら棋力を向上させていきたいものですね。