はじめに
コンピュータ将棋は最近でこそ序盤の構想に注目が集まっているが、従来からは終盤力の高さに定評があった。
検討用途としてソフトを使う場合でも終盤の検討のみに使用するという人も多かった。
今回の記事ではコンピュータ将棋の強豪ソフトである「技巧」の将棋から終盤の寄せのテクニックを学んでいきたい。
「技巧」の終盤のテクニック実戦例
動く将棋盤は以下のリンクから
開始日時:2015/11/29 15:30:02
棋戦:wdoor+floodgate-600-10+Gikou_20151122+ycas+20151129153009
先手:Gikou
後手:ycas
棋戦:wdoor+floodgate-600-10+Gikou_20151122+ycas+20151129153009
先手:Gikou
後手:ycas
(途中図から)
上図の局面、先手玉は相当に迫られているが、まだ詰まない形である。
よってここから後手玉に迫っていく。
(上図からの指し手)
▲3二金△1二玉▲3三金△同 金▲4五角(下図)
まずは角で王手をして寄せの足掛かりを作る。
そしてここからの技巧の寄せが素晴らしかった。
(上図からの指し手)
△2三銀▲3四銀打△2二金▲2三銀成△同金寄▲3二銀打△3三金打▲2三銀成
(途中図)
△同金上▲3四金△2二銀▲3三金△同 銀▲2三角成△同 玉▲3四金(途中図)
△同 銀▲同銀成△同 玉▲5四龍△4四金▲4五銀△2三玉▲3四金△1二玉▲4四龍(下図)
金銀を何度も打ち替え、相手の駒の連携が一番悪くなったタイミングで角を切って決めにいった。
上図は後手玉に受けはなく、以下は△8七歩成とするも先手が余して勝利した。
先手玉はどれだけ駒を渡しても詰まないZに近い形だったので、このような寄せが成立したと言える。
コンピュータらしい見切りの良さが光った終盤術と言えるのではないだろうか。
参考書籍