はじめに
嬉野流はアマチュア高段者の嬉野アマが創案し、惜しくも亡くなられた天野アマが棋書にしたことで世間に知られるようになった。
その後はアマチュア間でも愛用者は根強くいて、その独特の指し口に苦戦している方も多いのではないかと思う。
今回の記事ではその嬉野流への対抗策を考えていきたい。
対抗策として有力視されているのは後手からの速攻棒銀である。
今回はfloodgateで指された嬉野流の将棋を2局検討していきたい。
嬉野流対策の実戦例その1
動く将棋盤は以下のリンクから
棋戦:wdoor+floodgate-600-10+Apery_i7-2670QM_4c+VBV+20151012140001
先手:Apery_i7-2670QM_4c
後手:VBV
まず、1局目。
(初手からの指し手)
▲6八銀 △3四歩 ▲7九角 △8四歩 ▲7八金 △8五歩 ▲4八銀 △7二銀(途中図)
▲2六歩 △8三銀 ▲2五歩 △8四銀▲6六歩 △9五銀(途中図)
▲6七銀 △8六歩 ▲同 歩 △同 銀 ▲8八歩 △8七歩(途中図)
▲7六銀 △8八歩成 ▲同 金 △6六角▲2四歩 △同 歩 ▲5六歩 △7五銀 ▲5七銀(下図)
この局面は天野貴元さんの著書
にも載っている変化だ。
本では上図で△7六銀が解説されているがVBVが指した手は違った。
(上図からの指し手)
△7七角成 ▲同 桂 △7六銀 ▲6六銀 △6七銀成 ▲7四歩 △6六成銀(下図)
後手からの△7七角成が強手だった。
上図の局面は先手の陣形がバラバラでまとめるのが大変だと思う。
この将棋の総棋譜は以下から
嬉野流対策の実戦例その2
動く将棋盤は以下のリンクから
棋戦:wdoor+floodgate-600-10+Apery_i7-2670QM_4c+fib+20151012100004
先手:Apery_i7-2670QM_4c
後手:fib
次に2局目。
(途中図から)
1局目に紹介した将棋は上図で△7五銀だったが、本局で後手は違う一手を指した。
(上図からの指し手)
△8七歩▲7八金△3三角▲3六歩△2二銀▲8五歩△3二金▲3五歩△同 歩▲同 角△5二金(下図)
後手は△8七歩と指したがこれも有力手のようだ。
上図以下、後手は銀冠に組んで陣形の固さを生かして勝ちきった。
後手としてはこのような指し方も有力だ。
この将棋の総棋譜は以下から
嬉野流対策の後手速攻棒銀のまとめ
以上、floodgateで指された嬉野流の将棋を2局見てきたが、
どちらも後手満足の分かれとなった。
先手としてはもっと序盤の早い駒組みの段階で工夫が求められるのかもしれない。
※2019年2月追記
新型嬉野流と呼ばれる下図のような指し方が出てきており、有力視されている。
また、嬉野流は対振り飛車でelmo囲い急戦に合流できるのも個人的には面白いと考えている。(▲6八銀~▲7九金~▲6九玉~▲7八玉と駒組みする)
参考記事
嬉野流の詳しい指し方については天野さんの本を読むことでより理解が深まるので、まだ読んでいない方は是非読んでいただきたい。