はじめに
現在、対矢倉左美濃急戦は特に将棋倶楽部24や将棋ウォーズといったネット将棋で流行している。
戦法自体も非常に有力であり、なおかつ持ち時間の短い将棋で威力を発揮するといえる。
この戦法の特徴として作戦の幅が広いことが挙げられる。
よって先手矢倉側が対策を確立しにくく、現状苦戦している。
今回は左美濃急戦の様々な形を紹介したい。この戦法は右銀の使い方がポイントとなる。
△6三銀型左美濃急戦
動く将棋盤は以下のリンクから
https://shogi.io/kifus/231802
(初手からの指し手)
▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △7二銀 ▲5六歩 △3四歩 ▲6六歩 △4二玉 ▲7八金 △3二銀 ▲4八銀 △8五歩▲7七銀 △6四歩(途中図)
▲5八金 △3一玉 ▲6九玉 △7四歩 ▲2六歩 △5二金右 ▲2五歩 △7三桂 ▲6七金右 △6三銀▲3六歩 △6五歩(下図)
左美濃急戦の基本とも言えるのがこの△6三銀型。
プロ棋戦でも第1期叡王戦本戦 森内ー阿部光戦で指されたのは記憶に新しい。
陣形が低いので飛車を切る攻めが成功しやすいのが特徴だ。
将棋ウォーズの総棋譜は以下より
△5四銀型左美濃急戦
動く将棋盤は以下のリンクから
https://shogi.io/kifus/231807
(初手からの指し手)
▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △7二銀 ▲5六歩 △7四歩 ▲4八銀 △3四歩 ▲6六歩 △8五歩 ▲7七銀 △4二玉(途中図)
▲5八金右 △6四歩 ▲7八金 △7三桂 ▲6七金右 △3二銀 ▲6九玉 △3一玉 ▲2六歩 △5二金右 ▲2五歩 △6三銀▲7九角 △5四銀(下図)
先手が▲7九角と引いたのを見て6筋の利きからそれたので△5四銀型に構える。
このあと後手は△6三金や△6二飛として6筋を狙いにいく展開が多い。
この後の指し方については総棋譜を参考にしてほしい。
△8四銀型左美濃急戦
序盤で△8四歩を保留できた場合、△5四銀型に構えるよりも△8四銀型にしたほうが7筋の攻めが絡むのでより攻撃力が高まる。
動く将棋盤は以下のリンクから
https://shogi.io/kifus/231810
(初手からの指し手)
▲7六歩 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀 ▲6八銀 △7四歩 ▲5八金右 △7三銀 ▲6七金 △8四銀(途中図)
▲7七銀 △4二玉▲7八金 △3二銀 ▲4八銀 △5二金右 ▲5六歩 △3一玉 ▲2六歩 △7三桂(途中図)
▲2五歩 △6四歩 ▲6九玉 △6二飛▲7九玉 △7五歩 ▲同 歩 △6五歩(下図)
このような展開も覚えておくとこの戦法を指すうえでのバリエーションが広がるだろう。
この将棋の総棋譜は以下から
△5三銀型左美濃急戦
△5三銀型左美濃は将棋ウォーズの2016Ponaは指していないが、古くから有力な矢倉対策として用いられてきた形である。関西学生棋界OBの二次元人さんがこの形を得意とされていた。
他サイトリンク 二次元空間
http://2jigenn.fc2web.com/syogi/genko/defeat.htm#defeat4
floodgateでもこの形の将棋は指されている。
動く将棋盤は以下のリンクから
https://shogi.io/kifus/231818
開始日時:2013/10/10 21:00:00
棋戦:wdoor+floodgate-900-0+jidaiokure+ponanza-990XEE+20131010210003
先手:jidaiokure
後手:ponanza-990XEE
(初手からの指し手)
▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀 ▲5六歩 △5四歩 ▲5八金右 △4二玉 ▲4八銀 △5二金右▲7七銀 △3二銀 ▲2六歩 △3一玉(途中図)
▲7八金 △5三銀 ▲6九玉 △7四歩 ▲2五歩 △7三桂 ▲6七金右 △6四歩
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲3四飛 △4四角(途中図)
▲3六飛 △6二飛 ▲7九玉 △6五歩 ▲5七銀 △8五桂▲6八銀左 △6六歩 ▲同 銀 △3八歩(下図)
このような指し方も有力である。是非とも覚えておきたいところだ。
△5三銀型はどちらかというと、攻守のバランスが取れた形といえそうだ。
この将棋の総棋譜は以下から
△4三金型高美濃急戦
先手の早めの▲4六銀にはその銀を追い返すために△4四歩~△4五歩~△4三金と高美濃に組み替える展開が有力となる。
動く将棋盤は以下のリンクから
https://shogi.io/kifus/231826
(初手からの指し手)
▲1六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4二銀 ▲5八金右 △5四歩 ▲7六歩 △4四歩 ▲6八玉 △8四歩 ▲2五歩 △3三銀▲7八銀 △5二金右 ▲7九玉(途中図)
△8五歩 ▲4六歩 △4三金 ▲4八銀 △3二金 ▲4七銀 △6二銀 ▲5六銀 △5三銀
▲3六歩 △4一玉 ▲3七桂 △6四銀 ▲6六歩(途中図)
△8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲6五歩 △5三銀 ▲6七金 △8二飛▲8七歩 △3一玉 ▲1五歩 △7四歩 ▲9六歩 △3五歩 ▲2六飛 △3四銀 ▲4五歩(下図)
この将棋は左美濃側が先手だが手の流れが参考になるだろう。
後手が6四に出た銀を▲6六歩~▲6五歩として追い返すのがポイントだ。
余談だがこの左美濃急戦は振り飛車党の方にもお勧めである。
なぜなら戦い方が相振り飛車の感覚に似ているとも言えるからだ。
試しにこの将棋を左右反転してみる。
振り飛車党の方は先手を持ちたいと思う方のほうが多いのではないだろうか。
ここまで進むと後手の矢倉囲いが形を決めすぎている可能性が考えられる。
このようにこの戦法は形勢判断をする際、左右反転してみるのも有効である。
この将棋の総棋譜は以下から
まとめ
この戦法は作戦の幅が非常に広い(本当は5つ以上に分類できるだろう)。
その分対策を絞られにくく、その影響で現状先手矢倉が困っている。
※2019年1月現在、5手目▲6六歩からの矢倉は左美濃急戦の影響で激減している。
対矢倉左美濃急戦は大まかに分けると右銀の使い方が鍵をにぎり、
①△6三銀型②△5四銀型③△8四銀型④△5三銀型⑤△4三金型高美濃型に分かれる。
皆さんもこの戦法の理解度を高める為に、ネット将棋などで実戦をたくさん指してほしい。
筆者も試行錯誤をしながらやっている段階だ。