はじめに
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— ニコ生公式_将棋 (@nico2shogi) 2017年3月11日
駒落ちは予想していたが、
両成(飛車・角が成った状態から人間先手で開始)
変則太閤将棋(飛車前の歩をPONANZAに渡し、人間先手で開始)
の変則ルールは予想外だった。
今回は緊急企画としてこの2つの変則ルールについて研究してみたい。
研究に使用したソフト
SILENT_MAJORITY1.24
両成将棋の研究
ケース1
(初期局面からの指し手)
▲8六歩 △8四歩 ▲8七馬 △4二玉 ▲8八龍 △3二銀 ▲6八銀 △7二銀 ▲4八玉 △3一玉 ▲6五馬 (下図)
両成将棋における初期局面でのSILENT_MAJORITY1.24の評価値は+1,257。
このリードをいかに最大限に保ち続けられるかが勝利の鍵になる。
初手▲8六歩から▲8七馬と指し、開いた8八のスペースに龍を配置するのが有力となる。
上図最終手の▲6五馬も重要な一手でこの一手により龍筋を通すとともに、後手の金銀の活用をさまたげている。
(上図からの指し手)
△5二金右 ▲3八銀 △8三銀 ▲5六馬 △7四銀 ▲7六歩 △6四歩 ▲7七桂 △1四歩 ▲1六歩 △4四歩 ▲5八金左 △4三金 ▲3九玉 △3四歩 ▲2八玉 △3三桂 ▲6六馬 △6三銀 ▲5六歩 △4五歩 ▲5七銀(下図)
先手は美濃囲いに組み、自然な動き。
イメージとしては角交換振り飛車のような駒組みである。
この局面でSILENT_MAJORITY1.24の評価値は+1,544まで上昇した。
(上図からの指し手)
△2一玉 ▲4六歩 △3一金 ▲4七金 △6五歩 ▲同 馬 △5四銀 ▲6六馬 △6二飛 ▲5五歩 △6六飛 ▲同 銀 △4六歩 ▲同 金 △4五銀 ▲4七金 △1三角 ▲6一飛
(下図)
後手から飛車馬交換をして動いてきたが、先手は8八の龍が後手の角成を防いでおり隙が無い。
飛車を敵陣におろした上図の局面は先手評価値+1,743。
あとは、大きなミスさえなければ勝ち切れそうだ。
ケース2
(初手からの指し手)
▲8六歩 △3四歩 ▲8七馬 △4二玉 ▲8八龍 △6四歩 ▲4八玉 △6二銀 ▲6八銀 △7四歩 ▲3八玉 △7三桂 ▲5六歩 △8四歩 ▲5七銀 △7二金 ▲2八玉 △8五歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲4六銀 △8二飛 ▲5八金左 △6五歩 ▲3八銀 △6三銀 ▲5七金
(下図)
次は後手が▲6五馬を防いで△6四歩と突く変化をみていく。
この場合も先手は美濃囲いに組んで自然な駒組み。
後手に8筋の歩は交換されるが、それは甘受する。
(上図からの指し手)
△5四歩 ▲6六歩 △3二銀 ▲6五歩 △3三玉 ▲8六歩 △6二金 ▲6六金 △1四歩 ▲5五歩 △同 歩 ▲6八龍(途中図)
△5四銀 ▲6四歩 △5三金 ▲5五金 △同 銀 ▲同 銀
△1三角 ▲4六銀打 △6五歩 ▲5四歩 △5二金引 ▲9六馬 △2二玉 ▲7四馬 △8六飛 ▲7八龍(下図)
両成将棋のコツは成り駒の馬と龍を最大限に有効活用することに尽きる。
最終手の▲7八龍といった通常では効かない大駒の活用方法ができれば勝機がつかめるであろう。
上図の評価値は先手+1,766。初期局面よりも先手が有利になっている。
このような展開に上手く持っていきたいところだ。
変則太閤将棋の研究
この変則太閤将棋におけるSILENT_MAJORITY1.24の初期局面の評価値は先手+944。
両成将棋の+1257に比べるとハンデとしては313点分低くなっている。
ケース1
(初期局面からの指し手)
▲2三飛成 △3二金 ▲2五龍 △2三歩(下図)
通常の太閤将棋とは違い、後手が初期局面で1歩を持っているので最終図で△2三歩と受けることができる。
ここからの先手の構想は多岐に渡り、序盤センスが問われるところだ。
(上図からの指し手)
▲3八銀 △6二銀 ▲7六歩 △8四歩 ▲7七角 △8五歩 ▲7八銀 △6四歩 ▲3六歩 △6三銀 ▲3七桂 △4一玉 ▲1六歩 △7四歩 ▲7五歩 △同 歩 ▲同 龍 △7二金 ▲7六龍(下図)
先手は▲2五龍と中段に引き、7五~7六と左辺に転換した。
龍のひねり飛車でやはり通常の平手将棋よりだいぶ得をしている。
(上図からの指し手)
△4二銀 ▲6六歩 △3四歩 ▲4八玉 △3一玉 ▲6五歩 △5四歩 ▲2四歩 △同 歩 ▲2五歩 △同 歩 ▲6四歩 △同 銀 ▲2二角成 △同 玉 ▲4一角 △3三銀 ▲8五龍 △8四歩 ▲4五龍 △4二金 ▲2三歩(下図)
先手は▲4八玉型から▲6五歩と急戦を仕掛ける。
2筋に傷を作ってから角と龍でうまく手を作った上図は先手成功の局面だ。
△3一玉には▲9六角成と指しておく。
その後は馬と龍の力を最大限に発揮できれば勝利に近づく。
ケース2
(初期局面からの指し手)
▲2三飛成 △3二金 ▲2五龍 △2三歩 ▲3八銀 △4二銀 ▲3六歩 △5四歩 ▲7六歩 △5三銀 ▲6八玉 △6二銀上 ▲3七桂 △4一玉 ▲3五歩 △5二金 ▲3四歩 △同 歩 ▲2二角成 △同 金 ▲7八銀(下図)
次は先手が玉を左側に持っていく指し方をみていく。
先手は早い段階から3筋の歩を伸ばしていき、角交換を目指していく。
角交換し後手が壁金になったのが1つのポイントだ。
(上図からの指し手)
△8四歩 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 龍 △2三歩 ▲3四龍 △3三歩 ▲2五龍 △8五歩
▲7七銀 △7四歩 ▲7八金 △6四銀 ▲5八金 △5五歩 ▲6六歩 △5一金 ▲6五歩
(途中図)
△5三銀引 ▲5五龍 △3二玉 ▲5六龍 △4二金 ▲4六角
△7三桂 ▲7五歩 △8四飛 ▲7六龍 △5四銀 ▲7四歩 △6五銀 ▲7三角成 △同 銀 ▲6五龍(下図)
この変則太閤将棋におけるひとつのポイントは▲2五龍をうまく使えるかどうかだと感じる。
本局もひとつの先手の理想的な指し回しだ。
▲4六角と配置し、後手の飛車を狙っていく。
上図は後手の陣形があまりに悪形のため、先手優勢の局面だ。
このような左に玉を配置し、▲4六角から相手の飛車を狙っていく指し方も有力である。
まとめ
今回はPONANZA挑戦企画の内容にあわせて、両成将棋と変則太閤将棋について研究してみた。
両成将棋のポイントは▲8六歩~▲8七馬~▲8八龍の指し方である。
この指し方がこのルールにおいて最も有効に活用したものだと感じた。
その後は美濃囲いに組んで角交換振り飛車のイメージで指す。
実力者ならPONANZAに入っても不思議ではないと思う。
変則太閤将棋のポイントは▲2五龍を軸に上手く攻めの体制を築けるかどうかだ。
早い段階での速攻も有力である。
玉は左右どちらに持っていくのも有力。
普段指しなれているほうに玉を持っていくのがよいと思う。
最後に
明日挑戦する人は頑張ってください!!
一人でも多く勝利者が現れるのを期待しています。