はじめに
現在コンピュータ将棋界では、評価関数をブレンドする試みが流行している。
yaneuraou.yaneu.com yaneuraou.yaneu.com自分は某所から野生の読み太とelmoをブレンドしたものをダウンロードしましたが、解凍の際にいつもの方法だとエラーになりました。
— suimon (@floodgate_fan) 2017年7月8日
(あとで7zipで解凍したらうまくいきました)
※下のリンクより
ファイルサイズが大きいので注意。https://t.co/IMyOCrMMEg
いろいろ話を聞いてると、elmo+100の評価関数は相当強いみたいです。
— suimon (@floodgate_fan) 2017年7月8日
序盤の指し手や評価値の出し方も興味深いですね。
新しいもの好きな性分もあり、さっそくこのブレンド評価関数をダウンロードし、検討に利用しはじめた。
そしてその中でとても興味深い局面があったので記事にすることにした。
角換わり拒否の可能性
下図の局面は角換わりになりそうな序盤戦の一局面。
8手目△3四歩と後手が指した局面だ。
ここで先手の指し手としては
1、▲8八銀 2、▲6八銀 3、▲6六歩があるが、
この局面をやねうら王4.72+yaselmo(前項のリンクからダウンロードしたもの)で検討するととても興味深い読み筋になった。
これは衝撃的。藤井流▲6八銀が最も評価が高く、次に▲6六歩、そして▲8八銀の順に読んでいる。そしてさらに読ませると、後手はその3つすべての指し手で△4四歩を読む。(yaselmo+やねうら王4.72) pic.twitter.com/6s9xPYDjig
— suimon (@floodgate_fan) 2017年7月8日
※補足 藤井流というのは9手目▲6八銀を藤井聡太四段が多用するため、私が勝手に名付けてツイートしたもの。9手目▲6八銀自体は昔からあり、角交換拒否の△4四歩にはそこから先手は右四間飛車にすることが多かった。
▲8八銀は△4四歩があるので今後は無くなりそうだ。
— suimon (@floodgate_fan) 2017年7月8日
私としては後手番での角換わりを△4四歩として拒否する指し方をソフトが本線として読んでいることに衝撃を受けました。
— suimon (@floodgate_fan) 2017年7月8日
これは本格的に雁木(△4三銀+△3二金)のブームを予期させるものではないでしょうか。
floodgateで2017年に指された8手目△3四歩の将棋を調べてみると、9手目は以下のような次の一手の選択肢となっていた。
1.▲8八銀 350 ( 91%) 0.511 166勝 159敗
2.▲6八銀 17 ( 4%) 0.625 10勝 6敗
3.▲6六歩 7 ( 1%) 0.571 4勝 3敗
▲8八銀が次の一手の9割を占めているが、これには理由があり、▲8八銀自体がソフトの定跡として登録されていたため。
今後は、この局面での指し手の比率は大きく変わっていくだろう。
▲8八銀よりも▲6八銀のほうが指されるようになり、また▲6六歩からの雁木模様の将棋が増えていくに違いない。
そして、後手も△7七角成から角換わりにする将棋だけでなく△4四歩から角交換拒否にして雁木模様の将棋にすることが増えるはずだ。
昨日の対局で阿久津八段は10手目△7七角成に29分の長考。
阿久津八段の考慮には△4四歩との比較が含まれていたと想像するのは難しくない。
数年前までは当たり前だと思われていた△7七角成も最善かどうかはわからないのでここでの長考はプロの一手も妥協したくないという凄みを感じた。
ponanzaやブレンド評価関数を使ったソフトが示しはじめた、角交換拒否の将棋の可能性。
雁木という人間が古来から指し継いで来た戦法を現代風にアレンジ(△3三角・△6三銀型)したものが復活する様相はとてもワクワクする。
今後も将棋の序盤戦術には目が離せない。