コンピュータ将棋研究Blog

Twitterアカウントsuimon@floodgate_fanによるコンピュータ将棋研究ブログです。

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suimon著「コンピュータ発!現代将棋新定跡」を出版します!

はじめに

初の著書が6/12にマイナビ出版より出版されます。

コンピュータ発!現代将棋新定跡【棋譜ファイル付き】

※将棋情報局から購入すると特典付きです。

(その内容に関してはこの記事の最後に説明します。)

本記事では本書がどのような構成になっているか等を説明します。

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「コンピュータ発!現代将棋新定跡」は4つの章で構成

今回の本は企画段階では6つの章で構成でしたが、ひとつひとつの章の内容を充実させるために最終的に4つの章での構成になりました。

どれも今までこのブログで取りあげてきた戦法・作戦ですが、その内容を大幅に加筆・修正して内容をパワーアップさせています。

第1章 角換わり▲4五桂

角換わりの将棋で▲4五桂と跳ねて速攻を狙う作戦を後手の玉の位置(△4一玉、△5一玉、△4二玉)別に検討しています。

従来の本でも解説されている形もありますが、見解が変わっている箇所もあるのでそこを比較していただけたらと思います。

また、「▲4五桂をやられて困っている」という人にとっても受け方が参考になると思います。

第2章 角換わり▲4八金

現在、プロ、アマ、コンピュータ問わずに流行している角換わり▲4八金型について詳細に検討しました。

第1節では先手が▲5八金型、後手が△6二金型に組む形を検討しています。

下図のような激しくなる変化についてもじっくり時間を掛けて検討した手順を収録しています。

手数=43 ▲6三歩 まで
後手:後手
後手の持駒:角 銀 歩 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v金 ・v玉v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・ 歩v歩v歩v銀v歩 ・|三
|v歩 ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・v銀 ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:先手
先手の持駒:角 桂 
手数=43  ▲6三歩  まで
後手番

第2節からは▲4八金・△6二金の新型同型のさまざまな変化を見ていきます。

第3章 雁木

雁木に関しては解説された棋書も近年は出版されていなかったので力を入れて執筆しました。

第1節は9手目に▲8八銀と上がった場合、第2節では9手目に▲6八銀と上がった場合のさまざまな展開を見ていきます。

プロ棋戦で現れた形やまだ、公式戦では指されていない有力な指し方も紹介しています。

第3節では4手目に△4四歩と指して雁木にする指し方を解説しています。

これも今まであまり棋書には載っていない指し方なので面白い内容だと思います。

第4節は先手雁木となっています。

第4章 相掛かり△7四歩取らせ

後手番において、ひそかに注目されている7四の歩を取らせる形を検討しています。

第1節ではいろいろな後手の指し方を紹介した後に、先手側の有力な対策も紹介しています。

第2節では「実戦の△7四歩取らせ」として第5回将棋電王トーナメントで指された△7四歩取らせの一局を解説していきます。

全体を通して

本書はコンピュータ将棋に関する戦術書なので、今までの棋書では取り入れられていなかった試みもいくつか取り入れています。

floodgate、電王トーナメント、その他の参考棋譜をふんだんに取り入れ、検討しています。

そして、この4つの戦法に関しては執筆最中に将棋クエストで自ら何度も試して検証しました。(将棋クエストで高段者と指した後で研究課題となっていた局面も一部収録しました。)

その中で研究・執筆の成果が出たのか八段に昇段することができました。

関連記事

www.fgfan7.com

また、プロの先生やアマチュア愛好家が指した有力な作戦もそれぞれ紹介しています。

巻末には、あとがき、参考文献、参考ブログ、その他参考にさせていただいたものの紹介と、検討に利用したフリーソフトの紹介、結果図の見方を収録しました。

ページ数は256pと通常の棋書より多めとなっています。

また、価格は税込み1663円で、通常のマイナビ出版の棋書と同じ価格となっています。

対象棋力としてはさまざまな棋力の方に読んでもらいたいですが、現役の奨励会員の方にとっても参考になるような内容を目指しました。

執筆に関しては妥協はしていません。

(特にTwitterでフォロワーの現役奨励会員には頑張ってもらいたいので)

マイナビ出版、その他関係者への感謝

本書はマイナビ出版様から書籍執筆の依頼があり、出版することができました。

私は将棋を覚えたころから、棋書を読み、盤に並べて勉強するのが好きでした。

マイナビ出版の本とも長い付き合いです。(毎日コミュニケーションズの社名の頃から愛読していました。)

今回のような貴重な経験をさせていただいたことに大変感謝しています。

また、プロの先生、アマチュア将棋愛好家、コンピュータ将棋開発者それぞれにも感謝しています。

たくさんの人の将棋への情熱によって本書は誕生しました。

感謝の気持ちを込めて、本書によって発生する印税の一部をCSA(コンピュータ将棋協会)に寄付しています。(第28回世界コンピュータ将棋選手権への協力という形になっています)。

リンク先

第28回 世界コンピュータ将棋選手権 | World Computer Shogi Championship

以上、6/12発売です。よろしくお願いいたします。

suimon

コンピュータ発!現代将棋新定跡【棋譜ファイル付き】

将棋情報局、マイナビBOOKSから本書を購入すると、特典として「解説手順の棋譜ファイルに加えて、著者suimonが選ぶ!本書の理解を深めるfloodgate好局棋譜ファイル」がダウンロードできるようになります。

解説手順の棋譜ファイルはパソコンで閲覧し将棋ソフトを使いながら読む際に便利です。

また、棋譜ファイルとして章、節ごとに関連したコンピュータ将棋の棋譜を計81局(予定)ピックアップしました。

本の中で書ききれなかった変化を知る際に有益な特典となるかと思います。

興味のある方は、将棋情報局から本書を購入してみて下さい。