コンピュータ将棋研究Blog

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【コラム】ソフト研究は対振り飛車に弱くなるのか?

次回のテーマの執筆に苦戦しているので、今回は視点を変えて「ソフト研究は対振り飛車に弱くなるのか?」というテーマでコラムを書いてみようと思う。

私の見解を先に記すと「方法さえ間違わなければむしろ対振り飛車に強くなれる」である。

ではその具体的方法を考察していきたい。

・floodgateを見るときはソフト名をよく確認しよう

floodgateの将棋を見る際にはほとんどの人はレーティングの高いソフト同士の対局を観戦すると思う。

その方法で大方問題はないのだが、強いて問題を挙げると、相居飛車の将棋が非常に多く、見る将棋が偏りやすくなるという問題に突き当たる。

特に最近の傾向では角換わり横歩取りの将棋が圧倒的に多い。

それでも本質的な棋力を伸ばしたいのなら特段問題はないだろう。

しかし、アマチュアの将棋は過半数以上が居飛車対振り飛車の対抗形とも言われている。

勝ちたいなら対抗形の研究は欠かせないだろう。

そこで上記の「floodgateを見るときはソフト名をよく確認しよう」である。

ソフトを放流している人の中には、親切にそのソフトの特徴を名前にしている人も多い。

例えば現在トップクラスのレートを誇る、SM_furibisya_book である。

このソフトはsilent_majorityに振り飛車専門の定跡を搭載したソフトだ。このソフトと通常のソフトが対局した際には対抗形になる確率が非常に高い。

このようにソフト名をよく確認するのはfloodgate観戦の常套手段である。

・指定局面を作って(連続)対戦させる

これはShogiGUIやShogiDroidを使用するのがよい。

単純に自分が検討したい局面を作成し、ソフト同士で指させるのである。

ShogiGUIの場合は連続対局50局、手数は75手目までなど細かい設定もできるのでどんどん利用すると効率がよいだろう。

あとは生成された棋譜をしっかり研究しよう。

・将棋ウォーズの2016Ponaの棋譜を見る

私が最もお勧めする方法はこの方法である。

なぜならponanzaの対振り飛車は非常に個性的で即戦力になりやすいからである。

今までBlogで紹介してきたponanza流銀冠穴熊やクルクル角も元を辿ればponanzaが流行らせたと言っても過言ではない。

最近では他のソフトも序盤が洗練されてきてはいるが、まだponanzaが一歩リードしているのが感じられる。

将棋ウォーズでお勧めの対局カードは

2016Ponaとmiya_with_rの将棋だ。

なぜならmiya_with_rさんは高確率でノーマル四間飛車を多用するのでそれに対するponanzaの構想が斬新で特に目立ちやすいからである。

私はこのカードの棋譜を見てponanza流銀冠穴熊の存在を知った経緯がある。

この2人のカードは対局数も多いので棋譜をダウンロードして過去の棋譜を漁ってみるのもいいと思う。

まとめ

最近ではプロの対局でも新鋭の増田四段や千田五段がソフトに影響を受けたと思われる対振り飛車の序盤構想を披露している。

今や、ソフトの構想が対振り飛車でも非常に注目されているのは間違いない。

方法さえ工夫すればソフトを使っての対振り飛車の研究は十分にできる。

むしろ今まで気がつかなかったような新たな構想を発掘できるチャンスとも言える。

2016年もあと少しだが今後もプロ棋戦に注目していこう。

あっと驚くような対振り飛車の新構想が見られるかもしれない。