はじめに
藤井聡太四段が快進撃を続けている。
6/25時点で28連勝。
明日の竜王戦で増田康宏四段と対戦し、勝てば連勝の新記録達成となる。
対戦相手となる増田四段の参考記事
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史上最多連勝記録更新なるか!?第30期竜王戦 決勝トーナメント 増田康宏四段 vs 藤井聡太四段 - 2017/06/26 10:00開始 - ニコニコ生放送
【生放送】第30期 竜王戦決勝トーナメント 増田康宏四段 対 藤井聡太四段 | AbemaTV(アベマTV)
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今回、コラムとして私から見た藤井聡太四段の将棋の魅力について書いていきたいと思う。
序盤の戦法選択の抜かりのなさ
藤井四段がプロデビューしてから毎局、リアルタイム中継などを通して観戦してきたが、その時に感じたのが序盤の戦法選択の抜かりのなさだ。
藤井四段は角換わり腰掛け銀は先後とも指すが、先手番では矢倉を採用しない。
これは先手矢倉は後手からの急戦策で少し指しにくいと考えているからだろう。
その藤井四段が先手番矢倉に対して採用した左美濃急戦。
そこでの一局面で私がとても感心した構想があった。
33手目に先手の金井六段が▲5七銀と上部を厚くしたのに対して、藤井四段が△6三金と上がったのが非凡な構想。
この後、△6四金~△7五歩と金を攻めに使っていき結果的には快勝となった。
ここで普通に指すなら△6三金ではなく△6六歩と指し、以下▲同銀左△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8三飛(参考図)
のような展開になるが、これだとどうしても後手の攻めが軽く難解な形勢となる。
藤井四段の△6三金は守り駒として使うと思われていた金を前面に出していく構想で金井六段も予定外だったのではないかと推測する。
この△6三金からの構想は私の棋友も大いに関心していた。
↓私がTwitterでリアルタイムツイートしたもの
考えてみれば先手が金銀4枚で全力で受けているのだから、後手が金を攻めに足すのは自然か。
— suimon (@floodgate_fan) 2017年5月1日
藤井四段は局面の急所を見抜く力がずば抜けている。
相居飛車戦において勝率の良い戦法を先後分けて採用する藤井四段。
また、相掛かりというあまり定跡が整備されていない戦法においても無類の強さを発揮する。
これは既存の定跡に頼らなくても自らの構想力で将棋を組み立てていくことが出来る力があることの証明となっている。
相居飛車だけでなく対振り飛車においても戦法選択に抜かりはない。
例えば、
・後手のゴキゲン中飛車には超速▲3七銀
・先手中飛車には角道保留急戦、左美濃
その他、ノーマル四間飛車、ノーマル三間飛車には居飛車穴熊、角交換振り飛車には矢倉から▲5六角の打開…などどれもソフトの評価値が高い作戦を選択している。
藤井四段は奨励会三段の頃からソフトを研究に使い始め、現在では3つのソフトを使い分けて研究しているという。
実際にその研究の成果は公式戦の棋譜を見る限り、確実に好影響となっているように思う。
ソフトを研究に利用することは多くの人が取り入れ始めているが、実際に公式戦や大会でその成果を出せるかも実力として問われる時代。
藤井四段はその力もずば抜けていると言えよう。
藤井四段の棋譜、今まで25局くらいみたけど恐ろしいほど序盤に隙がないし、作戦選択もその戦法において1番勝率のいいものを率先して選んでいる感じがする。
— suimon (@floodgate_fan) 2017年5月24日
ソフトとのシンクロとそうではない部分
私は今までに何局か藤井四段の将棋をソフトを使いつつ観戦してきた。
その中で分かったのは藤井四段の指し手はソフトとシンクロしている手も多いが、決してそれだけではない部分もあるということだ。
↓私がTwitterでツイートしたもの
金井-藤井聡戦をやねうら王+elmoで検討している。
— suimon (@floodgate_fan) 2017年5月10日
藤井四段の指し手はいつもelmoとシンクロしているわけではない。
後手の藤井四段の指し手を入力→elmoの評価値が先手に振れる→しばらくそのまま読ませ続けると徐々に後手に評価値が振れていく。
という現象がしばしば。
ソフトの最善手の読み筋の指し手とは違うルートで局面をよくしていく能力が藤井四段にはある。
前にも言いましたが、藤井四段の指し手はソフトに読ませば読ますほど評価値が藤井四段の方に触れていくのです。
— suimon (@floodgate_fan) 2017年5月12日
本当に恐ろしいとさえ思いますね。
ノード数(読んだ局面)が増えるほどソフトは藤井四段の指し手を評価していく。
中盤の感覚が最も優れている棋士は藤井聡四段だと思っています。
— suimon (@floodgate_fan) 2017年5月21日
金井-藤井戦の△6三金の構想をみて「これはモノが違うな」と。
藤井四段は中盤の構想力がとても優れているのだ。
私はあまり将棋に詳しくない方からも「藤井四段の将棋ってやっぱり凄いの?」
と聞かれることが時にあるが、やはり内容が素晴らしいと常々感じている。
一番危なかった澤田六段との対局でも終盤劣勢の局面から執念の逆転勝ちをつかみ取った。
どの対局においても序盤・中盤・終盤で感心したりハッとすることがあった。
やはり厳しいプロの世界でいきなり28連勝するほどである。
その将棋の内容は光輝いている。
連勝記録の更新なるか?!
明日の増田康宏四段との対局は多くの方が注目していると思う。
戦型予想はわからないが、相居飛車の熱戦になるのは間違いない。
増田四段も個性的で「関東の天才」の異名を取る十代の若手棋士だ。
なお、十代の棋士は藤井四段と増田四段の2名のみである。
私もいち将棋ファンとしてこの注目を集める一局を楽しんで観戦したい。
※追記
藤井四段、29連勝の新記録おめでとうございます!!
藤井四段が小さい頃遊んだスタディ将棋
参考書籍
史上最年少記録を塗り替えた強さの秘密 藤井聡太四段 14歳プロは羽生を超えるか【文春e-Books】
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