前編からの続き
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雁木戦法実戦例その4 | Shogi.io(将棋アイオー)
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(局面図再掲)
(上図からの指し手)
▲3三歩 △同 桂 ▲3五桂 △6五歩 ▲4三桂成 △同金右 ▲3四歩 △6六桂(下図)
手の分岐が広く、非常に悩ましい中盤戦。
59手目▲3三歩では▲2二歩も考えられた。
▲3三歩に対しては1、△同 角 2、△同 金 3、△同 桂が選択肢としてある。
1、△同 角と取ると、以下 ▲3五銀 △8六歩 ▲同 歩 △8七歩 ▲2四銀(参考図)
と進むのが一例。
2、△同 金は以下、▲2二歩 △8六歩 ▲同 角 △1三桂 ▲5四桂 △同銀左 ▲同 歩 △8八歩 ▲7七桂 △5五桂(参考図)が進行例。
結果的には△3三同金はかなり有力だったように思う。
本譜は3、△同 桂と取った。
これに対して先手は▲3五桂と攻め立てる。
後手も△6五歩~△6六桂と騎虎の勢いで攻め合う。
どちらの攻めの速度が速いのかが焦点となった。
(局面図再掲)
(上図からの指し手)
▲3三歩成 △同金寄 ▲3四歩 △同 金 ▲4六桂 △3三金引 ▲3四歩 △2三金寄 ▲5四銀 △8六歩 ▲同 歩 △8八歩(下図)
本譜は互いに攻め合い、我が道を行く展開。
しかし、冷静に判断してみるとこの攻め合いは後手に分がある展開だったようだ。
駒の損得こそ先手が桂得ではあるが、2九の桂馬が使えていなく3六の銀も攻めに参加できていない。
また、9筋に傷が残っているのも大きい。
といっても一手の緩手で形勢が逆転するのが将棋である。
まだまだ、激戦は続いていく。
(上図からの指し手)
▲同 玉 △8五歩 ▲同 歩 △8六歩 ▲6六金 △同 歩 ▲5三桂 △同 角 ▲同銀成 △8五飛(下図)
仕方のない▲同 玉に対して後手は△8五歩~△8六歩と継ぎ歩から垂れ歩の教科書通りの攻め筋。
▲6六金 △同 歩 ▲5三桂とクサビを消しつつ先手も反撃をするが、△同 角 ▲同銀成 △8五飛が英断の攻め。
△同 角で△3一玉と寄ると▲8六角と出られて先手に粘られてしまうので一気の寄せを狙っていった。
(上図からの指し手)
▲8六角 △同 飛 ▲8七歩 △8三飛 ▲6一角 △7二銀打 ▲4三角成 △同 金 ▲同成銀 △5二金(下図)
88手目△8五飛の局面は先手玉に詰めろはかかっていないものの、後手玉に詰めろをかける手段がない為、先手は▲8六角 △同 飛 ▲8七歩と辛抱した。
それに対して△8三飛が銀にヒモを付けつつ当たりを交わす幸便な一手。
先手はなおも攻め続けるが、次第に息切れ感が漂ってきた。
(上図からの指し手)
▲5三金 △同 金 ▲同成銀 △3一角 ▲4三成銀 △8六歩 ▲同 歩 △8七歩 ▲同 金 △6九角(下図)
先手も懸命に詰めろを続けて攻めていくが、いかんせん攻めが細い。
▲4三成銀で詰めろがほどけたのを見計らって△8六歩 ▲同 歩 △8七歩 ▲同 金 △6九角と後手は反撃に転じた。
(上図からの指し手)
▲3二金 △5一玉 ▲3一金 △6七歩成 ▲4一金 △6一玉 ▲6四歩 △7八と ▲同 飛 △同角成 ▲同 玉 △5八飛(下図)
▲3二金 ~▲3一金はいかにも重く、つらい展開。
△6七歩成としておき、▲4一金には△同玉もあったが△6一玉が「負けない」指し方。
△5八飛で先手玉はいよいよ寄り筋となった。
(上図からの指し手)
▲6八角 △5六桂 ▲5一金 △7一玉 ▲7七角打 △6八桂成 ▲同 角 △5七金 ▲7七金 △6九角 (途中図)
▲8八玉 △6八飛成 ▲7八桂 △7九角 ▲8七玉 △7七龍 ▲同 玉 △6七金打 ▲8七玉 △7八角成 ▲9八玉 △8八馬(下図)まで142手で後手の勝ち
以下は、一手一手の寄り筋となった。
ponanzaの中盤の攻め合いにおける速度計算の正確性が光った一局だった。
まとめ
・先手がすぐに2筋からの角交換を狙ってこない場合は△4二角から駒組みをする。
・△3一玉と寄るのはかえって戦場に近づく場合がある。
展開によっては右辺への逃げ込みも考慮する。
・正確な速度計算が勝利へのカギ。基本的な手筋も実戦で応用は可能である。
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(次回に続く)