はじめに
横歩取りには後手からの有力な指し方が複数あり、先手は▲3四飛と横歩を取ったからにはそのすべてにうまく対応できないといけない。
以前記事にした相横歩取りや△4五角戦法はその有力な指し方の代表例である。
参考記事
www.fgfan7.com
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今回の記事は後手からの有力策のひとつである横歩取り△3八歩戦法に対する先手の対応策を考えていきたい。
横歩取り△3八歩戦法の実戦例
動く将棋盤は以下のリンクから
https://shogi.io/kifus/235145
開始日時:2016/05/01 09:29:51
棋戦:将棋ウォーズ(10秒将棋)
先手:2016Pona
後手:後手
(初期局面)
(初手からの指し手)
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7八金 △3二金 ▲2四歩△同 歩 ▲同 飛 △8六歩▲同 歩 △同 飛 ▲3四飛(下図)
15手目に▲3四飛と横歩を取り、横歩取りの戦型が確定した。
ここから後手の作戦は多岐にわたる。
(上図からの指し手)
△8八角成 ▲同 銀 △3八歩 ▲同 銀 △4四角(下図)
△8八角成▲同銀△3八歩が△3八歩戦法の出だしでこれに対して▲同金と取るのは以下、△4五角▲7七角△8八飛成▲同角△3四角▲1一角成△3三桂(参考図)と進んで後手が指しやすい。
よって先手は右辺の壁形を避けるために△3八歩には▲同銀と取るが、次の△4四角で先手は対応に迫られる。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
▲8七歩 △7六飛 ▲7七銀 △7四飛▲5六角(下図)
ここからは先手にとっていくつか有力な対抗策がある。
まずは、△4四角の局面で▲7七桂と跳ねる一手。
さすがに△同角成は無理筋で▲同銀△8九飛成▲6八玉で先手勝勢。
▲7七桂に対しては△3三金も考えられるが、▲3六飛△8二飛▲2四歩△2二飛▲8二歩△同銀に▲4五角(参考図)で先手優勢となる。
途中、▲3六飛に対して△2八歩も▲2六角がある。
(以下、△2九歩成には▲4四角△同歩に▲2六飛)
△4四角には▲7七桂も有力手だが、本譜の▲8七歩も自然な一手。
△7六飛には▲7七歩も有力ながら、本譜は▲7七銀と上がった。
次の△7四飛の局面は注意が必要で、後手は次に△7七角成から先手の飛車を素抜こうとしている。
よってここは飛車に紐をつける▲5六角が最善手だ。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
△5四飛 ▲2四歩 △2二歩 ▲6六銀 △5二玉 ▲7七桂(下図)
ここまで進行にはいくつかの実戦例がある。
▲5六角に対して△6四飛と指した実戦もあるが、以下▲2二歩△同角▲6四飛△同歩▲4五角△7二銀▲8二飛(参考図)と進んで先手優勢。
参考棋譜
https://shogi.io/kifus/235146
本局は▲5六角に対して△5四飛。
これには一回▲2四歩と垂らしてから(△3三金には▲3六飛△3四歩▲2三歩成△同金▲6五角で決まる)▲6六銀~▲7七桂と駒を活用する。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
△3五歩 ▲8三角成 △7二銀 ▲2三歩成 △同 歩▲6五馬 △6六角 ▲3二飛成 △同銀 ▲6六馬(下図)
後手は△3五歩と打って飛車を封じ込めようとしたが、▲8三角成とシンプルに馬を作って先手が有利となった。
しかし△3五歩で△7二銀と指しても以下、▲5八玉△3三桂▲9六歩(参考図)と進んで先手良しとなる。
△6六角はハッとする一手だが、▲3二飛成が王手になるので大丈夫。
仕方のない△同銀に▲6六馬で急所に馬を配置して先手優勢(+1330)となった。
この将棋の総棋譜は以下から
横歩取り△3八歩戦法に対する先手の勝ち方のまとめ
・△8八角成▲同銀△3八歩には右辺を壁形にしないように▲同銀と取る。
・△4四角には▲7七桂も有力。▲8七歩以下の進行は後手が飛車を素抜いてくる筋に注意する。▲5六角が重要な一手。
・局面が落ち着けば先手の歩得が生きてくる。陣形の模様で有利に立とう。
参考棋譜
https://shogi.io/kifus/235148