コンピュータ将棋研究Blog

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定跡周辺の攻防(▲5七銀左急戦~棒銀ー△四間飛車)

Gikou_20151122 vs. gpsfish_normal_1c (2015-11-29 08:00) http://wdoor.c.u-tokyo.ac.jp/shogi/view/2015/11/29/wdoor+floodgate-600-10+Gikou_20151122+gpsfish_normal_1c+20151129080007.csa

後手四間飛車に対する▲5七銀左急戦~棒銀の一局として非常に価値が高い一局。

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実戦は以下△1四歩 ▲1六歩    △6四歩    ▲2六銀(下図)と進んだ。

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技巧の対振り棒銀は基本に忠実だ。

渡辺竜王の四間飛車破り【急戦編】p242より

棒銀の考え方として「△1四歩には▲1六歩」「△6四歩を持って▲2六銀」と覚えておけばよいだろう。

とあるが、技巧はその教えに忠実な指し方をしている。

以下進んで下図。

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ここまで定跡手順でソフト同士での実戦例も多い。

渡辺竜王と藤井九段の本ではここで▲4五歩が推奨されているが、本譜の技巧は▲3四歩。この手は両書とも否定的な手とされていた。

実戦は▲3四歩    △同 銀    ▲3七銀(下図)と進んだ。

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この▲3七銀がおそらく技巧新手(floodgateでも実戦例がなかった。)

この技巧新手が成立しているかは興味深いところだ。

以下△5三角 ▲3六銀    △2五銀    ▲3五歩    △1三桂    ▲6六歩(下図)

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右辺で仕掛けてから左辺にも戦線拡大した。左右分裂の危険性もあるので指しこなすのは難しいが、以下左桂を活用して、端から攻めて先手の技巧が勝利した。

このように定跡がかなり整備されている▲5七銀左急戦~棒銀にも定跡周辺でまだ工夫の余地があることがわかった。

これからは序盤の定跡研究にもソフトの見解を尋ねる時代になっていくことを思わせる一局だった。

参考書籍