はじめに
コンピュータが矢倉や角換わりの将棋で序中盤に△5八角をよく打つ事は知る人ぞ知る特徴だ。
その特徴としては以前、コンピュータ将棋ソフトの弱点とされた△2八角戦法に通ずるクセといえるかもしれない。(参考図)
参考棋譜
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今回は△5八角打の成功例と失敗例をfloodgateの棋譜で紹介したい。
△5八角打の実戦例
まずは成功例から。
動く将棋盤は以下のリンクから
棋戦:wdoor+floodgate-900-0+ponanza-990XEE+NineDayFever_XeonE5-2690_16c+20130623030000
先手:ponanza-990XEE
後手:NineDayFever_XeonE5-2690_16c
相矢倉の将棋から角交換になり、後手のNDFが△5八角と打ち込んだ局面。
ここでponanzaは▲2七角と切り返す。NDFの角が狭いようだが。
(上図からの指し手)
▲2七角△6七角成▲同 金△6四銀▲7八玉△2二玉▲4九角△9五歩▲2五歩△7五歩(途中図)
▲6五歩△同 銀▲7五歩△7六歩▲同 金△同 銀▲同 角△6四歩
(下図)
ponanzaの▲2七角に対してNDFはいきなり△6七角成と角金交換に出た。以下攻めの銀を繰り出し、金を二枚持ち駒に持ちまずまずの展開か。
今では周知の事実となった感があるが、ソフトは角と金の価値が近い為、このような角金交換の筋に出ることはよくある。
この将棋の総棋譜は以下から
参考棋譜としてもう一局NDFの棋譜を貼っておく。
次に失敗例。
動く将棋盤は以下のリンクから
棋戦:wdoor+floodgate-900-0+jidaiokure+ktest+20131101150003
先手:jidaiokure
後手:ktest
後手が△5八角と打ち込んだ局面。
実戦はここから▲2七角△8四歩▲6八金引△7六角成▲同 銀(下図)と進んだ。
角をただで取られてしまった。
強豪ソフト以外ではこのようにただで取られてしまう例は少なくない。
次に強豪ソフト同士で起こった失敗例を紹介する。
動く将棋盤は以下のリンクから
棋戦:wdoor+floodgate-900-0+ponanza-990XEE+AWAKE_i7_2620M_2c+20141009200007
先手:ponanza-990XEE
後手:AWAKE_i7_2620M_2c
角換わりから始まった将棋でAWAKEが△5八角と打ち込んだ局面。よく見るとこの角は金と指し違えることができない。このチャンスをponanzaは逃さなかった。
(上図からの指し手)
▲2七角△3五歩▲4七歩△3六歩▲6八玉△3四銀▲5八玉(下図)
▲2七角~▲4七歩と角筋を遮断してから角を取りに行ったのが決め手。これで後手の角は助かっていない。AWAKEほどの強豪ソフトがこのようなポカをしたのは非常に珍しい。
強豪同士の対局ではこの△5八角打はほとんどが角金交換となる。
それはそれで難しい将棋となる。果たして打つほうが得なのか打たすほうが得なのか。
こればかりは難解としか言いようがないのかもしれない。
コンピュータ将棋特有の角打ちの対する情報を知りたい人に