筋違い角について
まず今回の記事を執筆するにあたって、筋違い角戦法についての書籍、ネット上の記事をたくさん読んでみた。
そして調べるうちにこの戦法はとても奥が深いことがわかってきたので記事にすることにした。
まずは筋違い角戦法に関しての現状認識についてまとめておきたいと思う。
THEME7において筋違い角戦法に関してのトップ棋士の見解が載っている。
それぞれの棋士が異なった見解を述べているが、本記事では羽生さんの見解を引用しようと思う。
うーん。簡単に悪くはならないでしょうけど、先手の得はなさそう。▲4五角のラインはあまりいいラインになることはないんですよ。
だから、私は1回もやったことがない。
ただ、先手を持ってちゃんとやれば50パーセント近くは勝てるんじゃないですか。
このように羽生さんはちゃんとやれば互角の戦法であると言っている。
ただ、その具体的な指し方が検討されることは今までほとんどなかった。
よって本Blogでは具体的な指し方について踏み込んでいきたいと思う。
筋違い角 パターン別分類
パターン1(通常バージョン)
(初手からの指し手)
▲7六歩△3四歩 ▲2二角成 △同 銀 ▲4五角(下図)
最短手数で筋違い角を打つパターン。筋違い角では最も多く紹介されている形だ。
ただ、この指し方は対抗策が整備されており、またソフトの評価もあまりよろしくないので本Blogでは詳しくは取り上げないことにする。
ソフトの評価値
*検討 候補1 時間 03:26.6 深さ 36/48 ノード数 5068541645 評価値 -53
(参考書籍)Theme15にて筋違い角が取り上げられている。
糸谷 哲郎,斎藤 慎太郎 マイナビ出版 2016-08-25
パターン2(▲2五歩型)
(初手からの指し手)
▲7六歩 △8四歩 ▲2六歩 △3二金 ▲2五歩 △8五歩▲7七角 △3四歩 ▲8八銀 △7七角成 ▲同 銀 △2二銀▲4五角(下図)
角換わりの出だしから▲2五歩を決めて筋違い角を打つパターン。
結論から言うと有力である。次回から詳しく検討する。
ソフトの評価値
*検討 候補1 時間 08:03.4 深さ 33/49 ノード数 11182045664 評価値 45
パターン3(▲2六歩型)
(初手からの指し手)
▲7六歩 △8四歩 ▲2六歩 △8五歩 ▲7七角 △3四歩▲8八銀 △7七角成 ▲同 銀 △3二金 ▲4五角(下図)
パターン2から▲2五歩△2二銀を省いたパターン。
これも有力だ。
ソフトの評価値
*検討 候補1 時間 05:27.0 深さ 33/52 ノード数 7777869204 評価値 12
パターン4(▲2六歩型+▲3八銀△2二銀)
(初手からの指し手)▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △8五歩 ▲7七角 △3四歩▲2六歩 △7七角成 ▲同 銀 △3二金 ▲3八銀 △2二銀▲4五角(下図)
パターン3から▲3八銀△2二銀を加えたパターン。これも考えられる。
ソフトの評価値
*検討 候補1 時間 03:19.6 深さ 32/45 ノード数 4808663756 評価値 47
パターン5(▲2六歩型+▲7八金△4二銀)
(初手からの指し手)
▲7六歩△8四歩▲2六歩△8五歩▲7七角△3四歩▲8八銀△3二金▲7八金△7七角成▲同 銀△4二銀▲4五角(下図)
パターン3から▲7八金△4二銀を加えたパターン。
これは少し先手が損かもしれない。
ソフトの評価値
*検討 候補1 時間 01:56.8 深さ 31/47 ノード数 2955344595 評価値 -50
概要編まとめ
従来からあるパターン1以外の手順なら筋違い角は相当有力である。
要するにしばらく手順が進んでから筋違い角を打つのである。
※相手から角交換をさせて手損なしに筋違いを打つ展開
序盤早々に自分だけ角を手放してしまうこと、また打った角のその後の使いにくさに抵抗感がある場合が多く、筋違い角戦法は敬遠されがちだが、ちゃんと研究すれば有力戦法に昇華する。
あのponanzaもfloodgateにおいて、手が進んでからの筋違い角を多用していた時期があるほどだ。(2013年頃)
次回からパターン2~5のその後の手順について詳しく検討していきたいと思う。
筋違い角の参考棋譜集
参考棋譜その1
https://shogi.io/kifus/235028
参考棋譜その2
https://shogi.io/kifus/235029
参考棋譜その3
https://shogi.io/kifus/235030
参考棋譜その4
https://shogi.io/kifus/235031