2013年(続き)
第1期電王戦のPVで
「PONANZAはプロの棋譜から生成した定跡はもう入ってない」
— suimon (@floodgate_fan) 2016年3月31日
「今の将棋の創造力だったらコンピュータの方が多い」 pic.twitter.com/djtJjBtIlp
という山本一成さんの発言があったが、私なりに山本さんのこの発言の内容を解釈してみたい。
棋戦:wdoor+floodgate-900-0+NineDayFever_XeonE5-2690_16c+ponanza-990XEE+20130701083000
先手:NDF
後手:ponanza
キーとなるのはこの一局。NineDayFever(NDF)との横歩取りの将棋だ。
ponanzaの横歩取り△8五飛から図の局面を迎えた。ここでの次の一手は△5一金が普通だろう。しかしponanzaの指し手は違った。
(上図からの指し手)
△5二玉 ▲3八銀 △7四歩 ▲2三歩 △同 銀 ▲3三角成 △同 桂 ▲2四歩 △1四銀 ▲2三角(下図)
一回△4一玉と寄ったにも関わらずponanzaは△5二玉と上がった。これは純粋な一手損である。(現在のponanzaは先手番で一手損することはあるが、それは先手だから。この場合とは状況が異なる。)
この隙を逃さず、NDFは強襲を仕掛けた。以下有利になりNDFが勝ち切っている。
これは序盤の定跡でプロ棋士の定跡から作った指し手とそこを抜けた後(△5二玉から)のponanzaの思考が噛み合っていなかった為だと思われる。
そしてponanzaは序盤の定跡に関して新たな道を模索し始めることになる。
2014年
ponanza第2回将棋電王トーナメント(2014年11月1日~3日)PR文章
http://ex.nicovideo.jp/img/denou/tournament2014/pc/PR_ponanza.pdf
このPR文章を読むと定跡を(ほぼ)自動生成し、初手からUCTという手法で定跡を作成しているようだ。
確かにこの頃からponanzaの序盤の方向性が明らかに変わった。
・振り飛車を指さなくなった。
・振り飛車に対して▲7八金と上がってからの銀冠。
・飛車先の歩を切らす指し方。
などの傾向が見られるようになったのだ。
さらにこの後この独自路線の傾向がより強くなっていく。
2015年
棋戦:wdoor+floodgate-600-10+ponanza_expt+gpsfish_mini+20150428073005
先手:ponanza_expt
後手:gpsfish_mini
以前からこのBlogで書いてきているがこの将棋のponanzaの初手は▲5八玉!
まさにponanza独自の路線を行っているという指し方だ。
ここではまた詳しくは書かないが以前のBlog記事を参考にしていただきたい。
ponanza流▲5八玉型について - コンピュータ将棋研究Blog
この年のponanzaはfloodgateにはあまり現れなかったものの、第3回将棋電王トーナメントで優勝したり、将棋倶楽部24に現れたりした一年であった。
2016年
3月12日、13日は電王PONANZA(ノートPC)に勝てたら300万円!! が行われた。
結果はponanzaの79連勝。観戦記は以下から。
ponanza300万チャレンジを終えて - コンピュータ将棋研究Blog
この後、再びfloodgateにponanzaが現れた。
現在今年に入ってから29連勝中で、レーティングは3675となりfloodgateの最高レーティングを更新し続けている。
そしていよいよ4月9日、10日が第1期電王戦2番勝負の第1局である。
これまで振り返ってみてもponanzaの将棋は変化を繰り返して強くなっていった。
本番ではどのような将棋を指すのであろうか。
今から楽しみである。