はじめに
前回の続き
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前回は先手中飛車に対する居飛車側の最序盤に注意すべき駒組みについて解説した。
いよいよその2では2016Ponaの実戦例をみていこうと思う。
対先手中飛車の基本図からの指し手
(基本図)
前回の記事でこのように書いた。ここで有力手は2つ。
この局面も重大な岐路となっている。 有力手は①▲5七銀②▲6六歩の二択。
ponanzaに学ぶ、最大の難敵先手中飛車攻略① - コンピュータ将棋研究Blog
基本図から①▲5七銀の変化
実戦例その1
動く将棋盤は以下のリンクから
https://shogi.io/kifus/234985
(基本図からの指し手)
▲5七銀 △6四銀 ▲6六銀 △3二玉 ▲4八玉 △1四歩 ▲3八玉 △1五歩 ▲2八玉 △7三桂 ▲3八銀 △5二金右 (途中図)
▲4六歩 △4二銀 ▲5六飛 △3四歩 ▲5八金左 △3三銀 ▲5四歩 △同 歩 ▲同 飛 △5三歩 ▲5六飛 △4四銀 ▲4七金 △6五桂 ▲6八角 △5五銀左(下図)
まず、上記の手順の間に15手目▲6六銀に代えて▲5六銀と真っすぐ銀を立つ指し方も有力。
その際の参考棋譜は
https://shogi.io/kifus/234986
を参考にしていただきたい。
※端歩が入っている影響で先後逆
さて本譜は後手からの基本的な超速二枚銀が上手く決まった格好だ。
先手としては▲5六飛と一回浮いてから▲5四歩と突いていく展開は不本意だったと思う。これは後手がかなりうまくいった例なので次の例も見てみよう。
実戦例その2
動く将棋盤は以下のリンクから
https://shogi.io/kifus/234987
(基本図からの指し手)
▲5七銀 △1四歩 ▲6六銀 △1五歩 ▲4八玉 △6四銀 ▲3八玉 △3二玉 ▲2八玉 △9四歩 ▲1八香 △7三桂 ▲1九玉 △6五銀(下図)
途中の△9四歩は必要な一手で、これを省略すると上図の局面で▲9五角と出る一手が絶好の一手となるので注意が必要だ。
本譜は先手の▲1九玉が疑問手となった。ここでは▲5九角などで仕掛けに備えるのが有力。後手の△6五銀が機敏な一手となりペースをつかんだ。
(上図からの指し手)
▲同 銀 △同 桂 ▲6八角 △8六歩 ▲同 歩 △1三角 (途中図)
▲同角成 △同 香 ▲5四歩 △同 歩 ▲同 飛 △8六飛 ▲7九金 △1六歩 ▲同 歩 △1七歩 ▲同 桂 △4五角
(下図、以下後手勝ち)
29手目▲6八角の局面で後手からの継続手がないようだが、ここで△8六歩 ▲同 歩 △1三角(途中図) が是非とも感覚になじませてほしい3手1組の好手順。
この△1三角という手は先手中飛車に対して頻出する手段なので是非ご記憶願いたい。壁角をさばきつつ、角を手駒にして攻め筋を増やす一石二鳥の手順だ。
本譜は先手の陣形が不安定なこともあり技がかかりやすい局面だ。
図の△4五角が決め手。先手の駒組みの不備をうまくとがめた一局だった。
その他の参考棋譜(▲5七銀に代えて▲5四歩の変化、先後逆)
https://shogi.io/kifus/234988
まとめ
・後手番でも展開によっては超速は有力。二枚銀で先手の飛車を抑え込む。
・△6五銀の前に△9四歩は必要。仕掛けの準備は慎重に。
・△8六歩▲同歩△1三角は対先手中飛車の切り札。常に狙っていきたい筋だ。
(次回その3は基本図から②▲6六歩の変化をみていきたい)
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