はじめに
2017年12月頃に話題になった、DeepMind社によるAlphaZeroの将棋版であるAlphaShogiが第27回世界コンピュータ将棋選手権で優勝したバージョンのelmoと対戦した100局の棋譜が公開された。
There are also 100 shogi games for players to enjoy with a top 10 selected by Shogi legend Yoshiharu Habu https://t.co/ZJDoaon5z0
— DeepMind (@DeepMindAI) 2018年12月6日
その棋譜を早速ダウンロードして内容を確認してみたのでその感想を書いてみたいと思う。
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棋譜を見ての感想
AlphaShogiは居飛車党で相掛かりと角換わり、横歩取り青野流を好むようだ。
以前に発表された論文https://arxiv.org/abs/1712.01815によると、>Each program was given 1 minute of thinking time per move.
と書かれているので一手ごとに1分の思考時間が割り当てられていたようである。
まず、はじめてAlphaShogiの棋譜を見た感想は短期間の学習で作り上げたソフトとは思えないほど序盤が洗練されているという点である。
#70の将棋より。
後手のAlphaShogiが角換わり腰掛け銀の将棋で△4一飛と指した局面だ。
この△4一飛という手は最近のプロ棋戦やコンピュータ将棋の対戦でも似たような局面で指された一手で、先手からの▲4五歩の攻めに対応しようとする準備の一手である。
序盤戦術に関していえばその他の強豪ソフトと遜色のない強さだと感じた。
#68の将棋より
elmoが序盤早々に角道を止めたことに対応してAlphaShogiが右四間飛車に組み、△6五歩と仕掛けた局面。
このような後手陣の駒組みからの仕掛けは人間のアマチュアの将棋でもよく見られる。
棋譜を見ていく中で気になった点が一つあった。
角換わりの将棋の序盤でelmoが攻めが成立しない局面で▲4五桂と跳ねる展開が多かった事である。
#74の将棋より
角換わり▲4五桂速攻は成立する局面と成立しない局面を見極めることが重要だが、elmoが無理な局面で▲4五桂と跳ねてしまう将棋が他にも見受けられた。
AlphaShogiの受けの力が強いからこその攻めを切らす展開とも言えるが、最新バージョンのelmoやその他強豪ソフトなら無理な局面では▲4五桂と仕掛けないはずなので、そのような強豪同士の対局も見てみたいところだ。
まとめ
今回棋譜を見ていく中で、短期間の学習でここまで強くなったAlphaShogiに驚くとともに、ここ1年間でのコンピュータ将棋の進歩も感じることができた。
上でも述べたが、現在の上位強豪ソフトとの対戦も実現可能ならば見てみたいところである。
今後もDeepMind社によるAlphaShogi開発が継続されることを願っている。