前々回、前回の続き。
戦型別にponanzaの傾向をチェックしていく。
今回は振り飛車編。
振り飛車
コンピュータ的には振り飛車は少し損とみられているが(評価値的には居飛車と比べて50~100点損と評価されることが多い)、今回のような一発勝負でそこまで神経質にならなくてもいいと思う。
調べていく中で振り飛車が勝った将棋もあったのが心強いデータだ。
石田流
http://www.shogidojo.com/kifu/ponanza/201512/21069522_1207_Super_megutan_3220_xo_ponanza_3418.kif
ponanzaはここから待機戦術をとった。うまく打開ができるかが勝負のようだ。
上図から△3三銀 ▲4六角 △2四角 ▲同 角 △同 銀 ▲7七桂 △4二金上 ▲9六歩 △4一金
(下図)
最悪、ここから手待ちにしたら千日手にはなるのかもしれない。
先手中飛車
gpsfish_normal_1c vs. ponanza-990XEE (2015-11-18 10:30) http://wdoor.c.u-tokyo.ac.jp/shogi/view/2015/11/18/wdoor+floodgate-600-10+gpsfish_normal_1c+ponanza-990XEE+20151118103005.csa
データは少ないが、よくある▲7六歩△8四歩▲5六歩△8五歩▲7七角の手順から角道を開けた中飛車に組むのはponanzaの全勝。
唯一の勝ち星を挙げた将棋が
▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △6二銀 ▲5六歩 △3四歩 ▲6六歩 △4二玉 ▲6七銀 △6四歩 ▲5八飛(下図)
要は角道を止めた旧来の中飛車ということだ。これは有力かもしれない。というのもこの将棋のponanzaはやや不出来な序盤だったと思うからだ。
進んで上図。ここで△7二飛なら普通だと思うが、ponanzaは△8五飛。
以下飛車が窮屈になり苦戦に陥った。この飛車寄りはコンピュータ特有の疑問手なのかもしれない。
とにかくノーマル中飛車は有力。
ノーマル四間飛車
ponanzaのやってくる作戦としては左美濃、居飛車穴熊、銀冠穴熊が有力。
居飛車穴熊対してはmztn7さんが将棋ウォーズの2016Ponaに2局勝利している。
http://shogiwars.heroz.jp:3002/games/mztn7-2016Pona-20160302_011738
http://shogiwars.heroz.jp:3002/games/mztn7-2016Pona-20160301_143336
mztn7さんのブログでコメント入りで紹介されているので気になる方は見ていただきたい。
これに似た局面は将棋ウォーズとfloodgate両方で指されたので、もしかしたら誘導できるかもしれない。
ノーマル三間飛車
ponanzaのやってくる作戦としては銀冠、居飛車穴熊、銀冠穴熊が有力。
一例だが、このように進むと後手の角道が通っており、また玉形も堅いので居飛車ペース(Apery_Twigの評価値は-400くらい)
序盤から工夫が求められそうだ。
最後に
この他の振り飛車(角交換型や向かい飛車など)はあまりデータがなかったので何とも言えない。ただ、どの筋に飛車を振っても戦略次第で戦えると思う。
アンチコンピュータ戦略として△3八角戦法、△2八角戦法も有力かもしれない。これは本番当日のponanzaの動きを見てみないとわからない面もある。
将棋ウォーズでの2八角戦法が上手くいった例はこちらの棋譜。
http://shogiwars.heroz.jp:3002/games/2016Pona-nemurin-20160129_222734
またひょっとしたらその他にも有力なアンチコンピュータ戦略があるのかもしれない。
とにかく3月12日、13日が楽しみである。
私は人間側が一人でも勝利してくれることを願っている。(完)