neokdr vs. NineDayFever_XeonE5-2690_16c (2013-07-30 14:30) http://wdoor.c.u-tokyo.ac.jp/shogi/view/2013/07/30/wdoor+floodgate-900-0+neokdr+NineDayFever_XeonE5-2690_16c+20130730143002.csa
まずこの局面を見てほしい。
飛車がなんとも奇妙な位置に配置されている。飛車と玉の位置は誤植ではない。
このような珍妙な作戦はどのようにして出来上がったのか。
今回はその点について見ていきたい。
4手目△4四歩がこの作戦を目指す一手。しかしここで先手が▲2五歩を決めないとこの作戦にはならない。
進んで図の局面。先手が▲2四歩の仕掛けの権利を持っており、よくある進行だ。
ここから実戦は▲2四歩 △同 歩 ▲同 角 △同 角 ▲同 飛 △2三銀 ▲2八飛 △2四歩
▲6八玉 △6二銀 ▲7八玉 △5三銀 ▲6八角(下図)と進んだ。
この▲6八角は次に▲2四角をみせた手である。ここで定跡では△4二角と防ぐことが多いが。
(上図からの指し手)
△3三金上 ▲3六歩 △2二飛
(下図)
これがこの戦法の狙っていた形である。
この戦法の主張は
・後手だけ角を手持ちにしている。
という点である。角を手持ちにしていることにより先手の駒組みに制約を与えているのである。例えばこのままこの局面から駒組みが進んだとして、
後手は▲8二角などの駒打ちを心配しなくていいのに対して、先手陣はいつでも角打ちの可能性があるので駒組みに神経を使う展開になる。
こうなれば後手も不満はないだろう。実戦も後手が勝利した。
この作戦は狙って指せる戦法ではないし(先手の指し方によって指せるか決まる)
この作戦周辺の他の知識も必要となる。
しかし、コンピュータ将棋によってこのような面白い作戦(プロ棋戦でも似たような構想の将棋はあったが)が指されるのは将棋の可能性が無限大であることがわかる契機となる一局として価値の高いものなのではないだろうか。
またこのような面白い作戦が他にもあれば紹介したいと思っている。