コンピュータ将棋研究Blog

Twitterアカウントsuimon@floodgate_fanによるコンピュータ将棋研究ブログです。

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コンピュータ将棋ソフトの弱点が出た一局~△3九飛のミス~

はじめに

2014年~2015年頃コンピュータ将棋ソフトへの対策としていろいろな作戦が試されてきた。

その代表例としては△2八角戦法と呼ばれる2八の地点に角を打たせて、その後その角を生け捕りする作戦で、この戦法を採用した山口アマが電王戦優勝ソフトのAWAKEに勝利するという快挙があった。(参考図)

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今回の記事では、この△2八角戦法のようにコンピュータ将棋ソフトが中盤で大駒を取られてしまった一局を振り返ってみたい。

コンピュータ将棋ソフトの弱点が出た一局の実戦例

動く将棋盤は以下のリンクから

https://shogi.io/kifus/235397

開始日時:2014/03/18 17:00:01
棋戦:wdoor+floodgate-900-0+luminos+NineDayFever_XeonE5-2690_16c+20140318170002
先手:luminos
後手:NineDayFever_XeonE5-2690_16c

(途中図から)

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上図の局面は後手のNineDayFever(以下NDFと略)が△3九飛と打ち込んだ局面。

いかにも危険な飛車打ちだ。狭いところに打ったために数手先に飛車が詰まされてしまう展開が見えている。ここからの先手luminosの指し手が巧みだった。

(上図からの指し手)

▲5七銀△9五歩▲同 歩△同 香▲同 角△9七歩▲同 香△2四角▲4八銀(下図)

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後手が飛車を打ってきたのに対して▲5七銀と引いたのがぬかりない一手。

次に▲4八銀とされてはゲームセットなのでNDFは△9五歩から暴れていったが、これではいかにも無理筋だ。

luminosは丁寧に受けて数手後に▲4八銀を実現。△3九飛を完全に悪手にしてしまった。

(上図からの指し手)

△7九角成▲同 銀△2九飛成▲同 飛△8五桂▲8八玉△9七桂不成▲同 桂△9三香▲8六角△9七香不成▲5三角成△8五桂▲9六香△9三桂▲5一飛(投了図)

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まで67手で先手の勝ち

このように67手で後手のNDFの投了となった。

この将棋の総棋譜は以下から

コンピュータ将棋ソフトの弱点が出た一局のまとめ

本局はluminosの中盤で△3九飛と打たせる構想が見事だった。一方NDFはらしくない敗戦だった。△2八角戦法に通ずる指し方で大駒を捕獲するのはアンチコンピュータ戦略として有効であるといわれている。

しかし、それを実現できる局面というのはそう簡単に見つけられるものではない。

実際、この△3九飛打たせもfloodgateで局面検索するとヒットするのはこの一局のみとなっている。