はじめに
将棋ソフト「技巧」は人間らしさを兼ね備えた棋風のソフトで検討に利用している人は今もなお多い。(※2019年2月追記)
中盤以降での筋の良さはコンピュータ将棋ソフトの中でも群を抜いているように感じる。
今回の記事では技巧の角換わり右玉対策(▲7七銀型)を見ていきたい。
技巧の角換わり右玉対策の実戦例
動く将棋盤は以下のリンクから
棋戦:wdoor+floodgate-600-10+gpsfish_normal_1c+Gikou_20151122+20151128143006
先手:gpsfish_normal_1c
後手:Gikou_20151122
(途中図から)
後手の技巧が平矢倉から穴熊への組み替えをみせる。
「隙あれば穴熊」の構想は渡辺竜王をはじめ、プロ棋士の感覚そのものである。
(上図からの指し手)
▲5五歩 △4三銀▲7七桂 △1一玉 ▲5七銀 △8六歩(下図)
ここで一歩を補充したのが後々の構想を視野に入れた指し手。
(上図からの指し手)
▲同 歩 △同 飛 ▲8七歩 △8二飛 ▲6六歩 △2二銀 ▲5六銀直 △9二角(下図)
一歩を手にしてからの上図の△9二角が右玉に対するひとつの攻め筋。
相手玉を遠くから狙い、場合によっては△3五歩の攻めを絡めつつ、仕掛けていく。
まずは後手が一本を取った序盤だといえるだろう。
(上図からの指し手)
▲6五歩 △同 歩 ▲6九飛 △6二飛 ▲6五桂 △5四歩 ▲7一角 △6八歩(下図)
△9二角に対しては▲9五歩として角を狙いにいく指し方もあるが、以下△3五歩▲同歩△3六歩(参考図)として右玉に攻め掛かることができる。
よって本譜は▲6五歩として相手の角筋を止めようとしたが、その後に△6二飛としたのがうまい指し方で相手の手を逆用した格好だ。
そして▲7一角に対して△6八歩が手筋の切り返しで、①▲同金には△7二飛で後手よし②▲同飛には△6一飛▲8二角成△5五歩で後手有利にそれぞれなる。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
それにしてもこの将棋の技巧は自然な指し回しだ。
技巧の将棋は人間らしいといわれることもあるが、この将棋は特にその傾向が顕著であるといえるだろう。