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第29回世界コンピュータ将棋選手権 決勝 1回戦 Qhapaq di molto - やねうら王

決勝 1回戦 Qhapaq di molto - やねうら王

動く将棋盤は以下のリンクから

https://shogi.io/kifus/237667

開始日時:2019/05/05 09:47:04
先手:Qhapaq di molto
後手:やねうら王

 

序盤戦

(初期局面)

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(初手からの指し手)

▲7六歩 △8四歩 ▲2六歩 △3二金 ▲2五歩 △8五歩▲7七角 △3四歩 ▲7八銀△7七角成 ▲同 銀 △2二銀(途中図)

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▲3八銀 △9四歩 ▲3六歩 △3三銀 ▲6八玉 △6二銀▲3七桂 △4二玉 ▲4六歩△6四歩 ▲3五歩 △同 歩▲4五桂(下図)

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角換わりの将棋から先手のQhapaqが▲4五桂速攻を仕掛けた。

これはやねうら王の早めの△9四歩を見ての仕掛けだと思われる。

(上図からの指し手)

△4四銀 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲2九飛 △7四歩 ▲7八金 △7三桂▲1六歩 △6三銀▲4八金 △8一飛(下図)

f:id:fg_fan7:20190511102425j:plain

▲4五桂に対して△2二銀と引くのは以下、▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲3四飛(参考図)と進んで次に▲1五角や▲6六角の筋があり先手の仕掛けが成功となる。

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よって本譜は△4四銀。

以下2筋の歩を切ってから▲2九飛と下段に引き、▲4八金と形を整える。

(本譜局面図再掲)

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(上図からの指し手)

▲3四角 △4一角 ▲1五歩 △6二金 ▲4七銀 △3三桂 ▲同桂成 △同 銀 ▲5六角△5四銀▲3四歩 △2二銀 ▲6六歩(下図)

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先手の▲3四角には△4一角がこの際の受けの形。

以下数手進んで、△3三同銀の局面では▲1六角(参考図)と引くのも有力。

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また、▲3四歩に対しては△4四銀(参考図)も考えられる。

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序盤から分岐点が多く、難解な将棋である。

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中盤戦

(本譜局面図再掲)

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(上図からの指し手)

△4四歩 ▲9六歩 △6五歩 ▲同 歩 △5五桂 ▲5八銀 △6七歩 ▲同 銀 △同桂成▲同 金 △8六歩 ▲同 歩 △5五銀打(下図)

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後手の△4四歩では△9五歩(参考図)と端歩の位を取っておくのも有力。

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本譜は△4四歩としたので先手も▲9六歩として端歩を受けた。

その後、△6五歩▲同歩△5五桂として攻めたが、△5五桂で△6五同銀は▲4五歩(参考図)で先手も戦える。

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△5五銀打まで進み後手が攻める展開となったが、依然として形勢は互角である。

(本譜局面図再掲)

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(上図からの指し手)

▲6四歩 △5二角 ▲4五歩 △6五桂 ▲6六桂 △7七桂成 ▲同 玉 △4五銀▲同 角 △同 歩 ▲5六銀(下図)

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先手の▲6四歩では▲7八桂とし、以下△6五銀▲2五桂(参考図)とする順も考えられた。

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本譜の▲6四歩は△同銀ならばそこで▲2五桂として先手有利となるが、後手も△5二角として対応する。

▲4五歩には△6五桂が好判断で、このあたりは後手がうまく対応したようだ。

▲5六銀は次に△6五歩があるので仕方がない。

(本譜局面図再掲)

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(上図からの指し手)

△4四銀打 ▲5五銀 △同 銀 ▲5六銀 △4四銀打 ▲5五銀 △同 銀 ▲5六銀 △同 銀▲同 歩 △4四銀(下図)

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本譜は千日手模様となったが、後手のやねうら王が手を変えて局面を打開した。

(上図からの指し手)

▲5四桂打 △同 歩 ▲同 桂 △3一玉 ▲6二桂成 △3四角 ▲7二成桂 △9三角 ▲8一成桂 △4八角成(下図)

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先手は▲5四桂打から金を取るが、後手の△3四角が拠点を払いつつ味の良い一手。

▲7二成桂には飛車を逃げずに△9三角と切り返した。

(上図からの指し手)

▲4二歩 △5一金 ▲7八金 △6六歩 ▲同 金 △5七銀 ▲6五金 △4七馬 ▲2七飛△4六歩 ▲4七飛 △同歩成▲6二角 △6六桂(下図)

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▲4二歩に△同金は▲5四桂(参考図)でかえって先手の攻めが速くなる。

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ここは△5一金が受けの好手で、もし▲4一金としてきたならば△2一玉(参考図)と逃げて後手有利となる。

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本譜は▲7八金と受けに回ったがここで後手の攻めのターンとなった。

途中、▲6二角はハッとする一手だが、後手の△6六桂も厳しい一手だ。

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終盤戦

(本譜局面図再掲)

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(上図からの指し手)

▲7九金 △5六角 ▲8七玉 △6五角 ▲5一角成 △2一玉 ▲8四馬 △6八銀不成▲同 金 △7九飛(下図)

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△6六桂に対して▲5一角成は以下△7八桂成▲同玉△5六角▲8七玉△2一玉(参考図)として後手勝ち筋。

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本譜も▲5一角成に△2一玉と早逃げをする筋が出てやはり後手優勢の終盤である。

(本譜局面図再掲)

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(上図からの指し手)

▲8八桂 △5八と ▲7七金 △8九飛成 ▲9八銀 △9九龍 ▲8九金 △同 龍 ▲同 銀△7五桂(途中図)

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▲同 馬 △同 歩▲7一飛 △3一香 ▲4一歩成 △6九角 ▲7八桂 △同桂成 ▲同 銀△7六歩 ▲同 桂 △9五桂 ▲同 歩 △同 歩(下図)

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先手も懸命に粘るものの後手の△2一玉型が安定感があり、形勢は後手が勝勢となった。※以下後手勝ち。

この将棋の総棋譜は以下から

本局の総括

角換わり腰掛け銀の将棋で先手が▲4五桂と仕掛ける将棋。

序盤は先手がポイントを奪ったが、中盤で後手のやねうら王が力を出し、形勢を次第に良くしていった。

途中、千日手模様となったが後手のやねうら王が打開し、うまく攻めをつないで△2一玉が決め手となった。

Qhapaq開発者の澤田さんの感想のように、中盤の読みでやねうら王が上回った将棋だったと言えそうだ。