前回の記事では対矢倉左美濃急戦の逆襲~先手対策確立編~(2016/11/12) - コンピュータ将棋研究Blog先手の居玉+▲4六角型という対策が優秀という内容であった。
今回はそれに対する後手の秘策を紹介していきたいと思う。
棋戦:第4回将棋電王トーナメント
yosen+8_round_5-900-10+giko+taishogun+20161008193108
先手:giko(技巧)
後手:taishogun(大将軍)
(初手からの指し手)
▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △8五歩 ▲7七銀 △3二銀 ▲5六歩 △6二銀 ▲7九角 △6四歩 ▲2六歩 △4二玉 ▲2五歩 △3四歩 ▲2四歩
△同 歩 ▲同 角 △3一玉 ▲4六角 △2三歩 ▲7八金 △6三銀 ▲4八銀 △7四歩 ▲6六歩 △7三桂 ▲3六歩 △5二金右 ▲5八金 △8三飛(下図)
大将軍の△8三飛が意欲的な一手だ。従来は△6二飛▲6七金右△5四銀という展開が多かったが、それでも互角ながら左美濃急戦側にとっては難敵となっていた。
ここでは分岐が広く、①▲2四歩②▲6七金右➂▲6八玉④▲3七桂などが考えられる。まずは実戦の進行を見てみよう。
(上図からの指し手)
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲2五飛 △4四角 ▲3七桂 △6五歩 ▲6七金右 △7五歩(下図)
技巧が▲2五飛と飛車を中段に配置したのに対して、大将軍が△4四角と上がったのは好手だ。これは①△3三桂と②△3五歩を見せ、先手の飛車の威力を弱めることを可能にしている。あとは後手は△8三飛と浮いているので桂馬に紐が付いているのを活かして△6五歩~△7五歩と一気の攻勢をかける。
(上図からの指し手)
▲4九玉 △3五歩 ▲同 角 △同 角 ▲同 飛 △7六歩 ▲同 金 △6六歩 ▲同 金 △4四角 ▲7五飛 △6四銀 ▲7四飛 △6三金 ▲7六飛 △7五歩 ▲9六飛 △8四飛
(下図)
技巧は序盤から持ち時間を使い切りここでは10秒将棋に突入していた。次の一手は▲4九玉と指したが、すでにこれは後手の大将軍のペース。丁寧な指し回しで優位を築いた。(上図)は先手の飛車が窮屈で玉の安定度も段違いで後手の優勢は明らかだ。
この展開は後手が上手く行き過ぎたので、次回は分岐図の①▲2四歩に代えて先手の別の手段を検討していきたいと思う。(更新未定です)
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※この戦法の基礎となる狙い筋は以下の書籍が詳しい。是非参考にしていただきたい。