はじめに
私は普段、実戦練習の場として将棋クエストをよく利用している。
持ち時間としては2分切れ負けのルールで指すことが圧倒的に多く、現在の段位は八段でレートの推移としては2300~2500の間をいったりきたりしていることが多い。
参考記事
今回から自分自身の実戦を題材として、高段者の方との対戦を中心に対局の振り返りを行っていきたい。
振り返りを行っていく理由としては、
・ただ対局をこなしていくだけでなく定期的に対局内容を精査していくことで棋力向上を目指す。
・ アマチュア強豪プレイヤーの実力に少しでも近づきたい。
(彼らのレーティングは2500~2700の範囲が多く、私よりも平均200点ほど高い)
・ブログ記事に定期的にアップするコンテンツとなるため。
といった理由が挙げられる。
ではさっそく一回目をスタートしていきたい。
実戦その1 対2659点の方
動く将棋盤は以下のリンクから
後手:garnet_crow(2401)
(初期局面)
(初手からの指し手)
▲7六歩 △8四歩 ▲7八飛 △8五歩 ▲7七角 △6二銀 ▲6八銀 △1四歩 ▲1六歩(下図)
先手の方とは面識があり、アマチュアの県代表に何度もなられており、また全国大会でも上位入賞の経験があるアマチュア強豪のひとりである。
棋風はオールラウンドプレイヤーのようで、本局は先手三間飛車となった。
(上図からの指し手)
△4二玉 ▲4八玉 △3二玉▲3八銀 △3四歩 ▲3九玉 △5二金右 ▲5八金左(下図)
序盤で1筋の端歩は突き合っている。急戦含みではあるが、最近では持久戦でも居飛車側が端歩を受けることも多い。
その後、駒組みが続いていくが先手が角筋を通したままなのが作戦の岐路。
(上図からの指し手)
△9四歩 ▲2八玉 △9五歩 ▲6六歩(下図)
後手が△9四歩~△9五歩と態度を保留したのをみてから先手が▲6六歩と角道を止めた。
(上図からの指し手)
△7四歩 ▲6七銀 △5四歩▲5六歩 △4二銀 ▲6八角 △7二飛(下図)
本局では私は急戦でいこうと決めていたので△4二銀と上がった。
▲6八角には▲7五歩の筋を防ごうと考えて△7二飛と寄ったが、ここでは△6四歩として、以下▲7五歩△8六歩▲同歩△6五歩(参考図)と進めるのも有力だった。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
▲9八香 △5三銀左 ▲4六歩 △6四歩 ▲7七角 △4二金上(下図)
先手の▲9八香に対して△5三銀左と上がったが、ここでは△5三銀右も考えられた。
本局開始直後はelmo囲い急戦をイメージしていたが、実戦の成り行きで昔ながらの対振り急戦となった。
(上図からの指し手)
▲3六歩 △6五歩▲6八飛 △8二飛 ▲3七桂 △7三桂 ▲4七金(下図)
部分的には△7二飛亜急戦でよく似た進行がある。
本局は先手に▲9八香と上がらせている分少し得かと考えていたが、後手には他にも有力手があった。
▲6八飛には△7五歩▲同歩△同飛▲7六歩△7二飛(参考図)と7筋の歩を交換しておくのも有力だった。
局後にソフトを使って検証してみると、自分がいかに過去の知識にとらわれているかが思い知らされる。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
△8六歩 ▲同 歩 △6六歩 ▲同 銀 △6五歩 ▲同 銀(下図)
先手にもう一手▲2六歩と指されると陣形が安定するので△8六歩と仕掛けていった。
以下、▲同歩△6六歩▲同銀までは妥当な進行だが、次の△6五歩では一回△1五歩と端歩を突き捨てておくのがソフト推奨の一手でなるほどなと思った。
確かにこのタイミングでの突き捨てなら後々に端を攻めていく味がありそうだった。
(上図からの指し手)
△7七角成▲同 桂 △6五桂 ▲同 飛 △8七角 ▲8五飛 △同 飛 ▲同 桂 △9八角成(下図)
△7七角成▲同桂の局面で△6五桂と銀を取ったがこれはあまり良くなかった。
正着は単に△8六飛と走る一手で、以下▲6三歩△5一銀▲4五桂△4四銀(参考図)
と進める方が飛成を見せて指しやすかった。
△8七角には▲4五桂と跳ねられると厳しかったが、本譜は▲8五飛だったので再び後手にも楽しみが出てきた。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
▲4五桂 △4四銀 ▲6三歩 △5一銀▲7三桂成 △6九飛 ▲6一飛(下図)
▲4五桂に対して△4四銀と逃げたがこれは疑問手で一手の価値が乏しかった。
ここは△7六馬と引くのが急所で5三の銀は取らしてしまう方が戦いやすかったのだ。
ただ、△6九飛に対しては▲5八角というぴったりの一手があったが、▲6一飛と指したので後手の次の一手が絶好となった。
(上図からの指し手)
△7六馬 ▲3九金 △1五歩 ▲6二歩成 △1六歩 ▲5二と △6一飛成 ▲同 と
(下図)
▲6一飛に対して△7六馬が眠っている馬の活用で絶好の一手となった。
ここでは対局中は形勢がよいと思っていた。
ただ、▲3九金に対しての△1五歩がやや甘く、ここは△7五馬とひとつ馬を引いておくのが攻防に利いていて好手だった。
本譜は後手陣も薄くなり、また形勢が混とんとしてきた。
(上図からの指し手)
△1七歩成▲同 香 △1九銀 ▲同 玉 △1七香不成▲1八歩 △同香成 ▲同 玉(下図)
△1七歩成▲同香に対しての△1九銀が痛恨の大悪手で、▲同玉に対して△1七香成▲1二飛の筋を完全にうっかりしていた。
本譜は仕方なく△1七香不成と指したが、冷静に▲1八歩と受けられてみると局面はもうすでに後手敗勢である。
△1七歩成▲同香に対しては素直に△同香成としておくのが最善で、以下▲3七玉△4五銀▲1二飛△2二銀(参考図)と進んで難解な勝負だった。
時間もまだ残っていたので、少しだけでも考えなければならなかった。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
△1七歩 ▲2八玉 △1八飛 ▲3七玉 △4五銀▲1二飛 △2二香 ▲1一角 △6六馬 ▲5五桂 △2五桂 ▲2六玉(投了図)
まで先手の勝ち
以下はただ指しただけで形勢が入れかわることはない。
中盤終わりの局面はこちらがよい場面もあったので、一回だけでも腰を落として考える必要があった。
終盤以降の失速が残念な一局である。
この将棋の総棋譜は以下から
将棋クエストのレート向上奮闘記 2分切れ負けその1のまとめ
本局は先手の三間飛車からいろいろな駆け引きがあり、結局昔ながらの対振り急戦策の将棋となった。
仕掛け前後で少々のミスはあったが、中盤終わりの局面では△7六馬と引けて手ごたえを感じていた。
しかし、その後にこちらの疑問手が続いて最後は大差になってしまったのが残念である。
持ち時間は残っていたので最後の急所の局面では少し考えるべきだったと反省した。