コンピュータ将棋研究Blog

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ソフトから学ぶ終盤講座ー美濃崩し 中級編ー

前回(初級編)の続き

www.fgfan7.com

今回は中級編としてfloodgateの棋譜を題材にして中盤の終わり~終盤の実戦の美濃崩しのテクニックを学んでいきたいと思う。

ではさっそく始めよう。

例題

Gekisashi_X5590_7c vs. PuppetMaster (2013-03-06 02:30) http://wdoor.c.u-tokyo.ac.jp/shogi/view/2013/03/06/wdoor+floodgate-900-0+Gekisashi_X5590_7c+PuppetMaster+20130306023004.csa

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先手居飛車穴熊、後手向かい飛車で始まった将棋から長い中盤戦を経て終盤戦に突入しようとしている局面。先手、後手共に陣形がきれいなまま残っており、ここから互いの囲い崩し合いが予想される。先手からの狙うべき駒まずは△5二金である。

(上図からの指し手)

▲5三歩 △6二金寄 ▲4四桂(下図)

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後手の本美濃囲いを崩しにかかる。▲5三歩 △6二金寄 ▲4四桂が確実な攻め筋で相手の守りを一枚剝がせば勝利が見えてくる。

(上図からの指し手)

△4八歩 ▲5八角 △5六馬 ▲5二歩成 △5九龍 ▲6二と △同 金 ▲6九金(下図)

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 実戦の進行は互いに金を入手する展開。最後の▲6九金が大切な一手で龍に当てながら自陣を強化する一石二鳥の一手。このように終盤で相手の攻め駒に当てながら守りを固めるテクニックは重要なので実戦で使えるようにしよう。

(上図から指し手)

△1九龍 ▲5三歩 △6一金 ▲5二歩成 △7一金 ▲4一飛 △4九歩成 ▲2五角 (下図)

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仕方のない△1九龍に先手はと金製造第二弾の▲5三歩。このように歩を垂らしてと金を作り相手の囲いの金銀を剥がすのも基本的手筋である。

そして飛車と角を好所に配置して先手好調。勝利は目前だ。

(上図からの指し手)

△5九と ▲6八金上 △9六歩 ▲同 歩 △9七歩 ▲同 香 △9五歩 ▲同 歩 △6六馬 ▲8六歩 △7六馬 ▲8七香 △9六歩 ▲同 香(下図)

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 後手は攻めを見せるが、ここはじっくり面倒を見る。攻めを慌てなくても自玉をZにしておけば怖いところなしだ。特に▲8七香のような手は大切である。自陣を鉄壁にして後はクライマックスだ。

(上図からの指し手)

△7四歩 ▲6二歩 △9七歩 ▲同 桂 △5八と ▲同 角 △同 馬 ▲同 金 △1四角 ▲7一飛成 △同 玉 ▲5九歩(下図)

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攻める手がなくなった後手は△7四歩と指して下駄を預けるが、先手の▲6二歩がまたもやのと金製造の一手。先手は方針が一貫している。△1四角の飛車金両取りには▲7一飛成 △同 玉 ▲5九歩が抜かりない手順で万が一にも負けない指し方だ。

(上図からの指し手)

△2五角 ▲5一角 △7三銀引 ▲8五桂 △8二玉 ▲6一歩成 △同 銀 ▲9四歩
まで165手で先手の勝ち

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着実に包囲網を狭めていき、ついに後手玉は捕まった。

投了図以下は△7二銀▲9三金打 △同 桂▲同 歩成△7一玉▲7三桂成で先手勝ちである。

まとめ

先手の3回に渡る歩の垂らしからのと金製造の呼吸を学んでほしい。

また自陣に手を戻すタイミングも大切。自玉を安全にしてから確実に攻めるこの方針を参考にして勝率アップをしていただきたい。

↓参考書籍

例題別に攻めのパターンを覚える。

 中終盤の大局観を学べる一冊。