前編からの続き
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雁木戦法実戦例その5 | Shogi.io(将棋アイオー)
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(局面図再掲)
(上図からの指し手)
▲3七桂 △8六歩 ▲同 歩 △同 角 ▲同 角 △同 飛 ▲8七歩 △8一飛(下図)
後手は△3八歩▲3七桂の交換を入れてから8筋での角交換に出た。
一時的とはいえ、先手の飛車の横利きを消すことが出来たので少しポイントを稼いだといってよいだろう。
結果的に△3八歩は好手だった。
(上図からの指し手)
▲2四歩 △同 歩 ▲6五銀 △6四歩 ▲3五桂 △6五歩 ▲4六角(下図)
ほぼ必然の応酬が続く。
上図最終手の▲4六角は含みのある一手ですぐに▲4三桂成とするのは味消しになる。
(上図からの指し手)
△6六歩 ▲7七金寄 △5八角 ▲4三桂成 △同金右 ▲8二銀 △5一飛 ▲7三角成 △5三飛(下図)
互いに相手の囲いを崩しにかかる展開。
▲8二銀はもったいないようだが、自陣の緩和の意味がありここでは最善。
△5三飛と味良く銀取りを受けて依然として形勢は互角のままだ。
(上図からの指し手)
▲2四飛 △2三歩 ▲2五飛 △8六歩 ▲同 歩 △5五歩(下図)
先手は飛車を中段に配置し、後手の攻めを牽制する。
上図最終手の△5五歩では△6七銀打も考えられたが、直接的すぎるきらいがあるため含みを持たせる△5五歩を採用したと考えられる。
(上図からの指し手)
▲9一銀成 △7五歩 ▲3五香 △7六歩 ▲6六金 △7四桂 ▲同 馬 △同 銀 ▲3二香成 △同 玉(下図)
先手は▲9一銀成と指したが、ここでは▲7一銀不成と指して次に▲6二銀不成を狙ったほうがよかった可能性がある。
本譜は△7五歩が急所の攻め。
▲3五香の金取りにも構わず、△7六歩と取り込んでいく。
ここらへんでどうやら後手が有利になったようだ。
(上図からの指し手)
▲6八金打 △4九角成 ▲3五桂 △3四金 ▲2三飛成 △同 飛 ▲同桂成 △同 玉 ▲2九飛(下図)
先手も懸命に攻めるが、局面がすっきりしてしまい攻め駒不足になってきた。
上図で王手馬取りを掛けたものの、後手の持ち駒も増えてきたのが大きい。
(上図からの指し手)
△3二玉 ▲4九飛 △3九歩成 ▲5二角 △4三角 ▲7四角成 △4九と ▲5二銀 △5四角(下図)
△3九歩成が▲同飛なら△4八角を見た決め手に近い一着。
序盤で放った△3八歩が結果的に大活躍した。
△3八歩は本局の勝因といっても過言ではない一手だったように思う。
以下は手順のみ示す。
(上図からの指し手)
▲6五馬 △同 角 ▲同 金 △6七歩 ▲4三角 △3三玉 ▲6九金 △7七歩成 ▲3四角成 △同 玉 ▲3五歩 △3三玉 ▲7七桂 △7六桂(途中図)
▲8九玉 △3八飛 ▲7九金打 △5九と ▲3四歩 △同 玉 ▲9八玉 △6九と ▲8七玉 △3七飛成 ▲3五歩 △3三玉(途中図)
▲7六玉 △3六龍 ▲6七金 △8四銀 ▲7八金 △5六龍 ▲同 金 △4九角 ▲5八歩 △同角成 ▲6七歩 △6四桂 ▲同 金 △7五飛 ▲8七玉 △7六角 ▲8八玉 △8七金 ▲同 金 △同角成 ▲同 玉 △7六銀 ▲9八玉 △8七金 ▲8九玉 △8八香(下図) まで156手で後手の勝ち
まとめ
その4に続いて先手が2筋で角交換をせずに3筋の歩を交換する将棋をみてきた。
後手は△8一飛と下段に飛車を構え、△6五歩から仕掛けていく。
△3八歩は意味合いが難しい一手だったが、歩を使うことで飛車の利きを遮断するテクニックなので覚えておいて損はないだろう。
本局ではその△3八歩がと金になり、最終的に相手の金と交換になる大活躍。
垂らしの歩は効果的な手筋であることが再認識できる一局だった。
参考書籍
羽生 善治 毎日コミュニケーションズ 2011-09-13