コンピュータ将棋研究Blog

Twitterアカウントsuimon@floodgate_fanによるコンピュータ将棋研究ブログです。

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【コラム】角換わり拒否が有力か - ブレンド評価関数にみた序盤最前線-

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はじめに

現在コンピュータ将棋界では、評価関数をブレンドする試みが流行している。

yaneuraou.yaneu.com

yaneuraou.yaneu.com

新しいもの好きな性分もあり、さっそくこのブレンド評価関数をダウンロードし、検討に利用しはじめた。

そしてその中でとても興味深い局面があったので記事にすることにした。

角換わり拒否の可能性

下図の局面は角換わりになりそうな序盤戦の一局面。

手数=8 △3四歩 まで
後手:後手

後手の持駒:なし

  9 8 7 6 5 4 3 2 1

+---------------------------+

|v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一

| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v角 ・|二

|v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三

| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四

| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五

| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|六

| 歩 歩 角 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七

| ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八

| 香 桂 銀 ・ 玉 金 銀 桂 香|九

+---------------------------+

先手:先手

先手の持駒:なし

手数=8  △3四歩  まで

8手目△3四歩と後手が指した局面だ。

ここで先手の指し手としては

1、▲8八銀 2、▲6八銀 3、▲6六歩があるが、

この局面をやねうら王4.72+yaselmo(前項のリンクからダウンロードしたもの)で検討するととても興味深い読み筋になった。

※補足 藤井流というのは9手目▲6八銀を藤井聡太四段が多用するため、私が勝手に名付けてツイートしたもの。9手目▲6八銀自体は昔からあり、角交換拒否の△4四歩にはそこから先手は右四間飛車にすることが多かった。

floodgateで2017年に指された8手目△3四歩の将棋を調べてみると、9手目は以下のような次の一手の選択肢となっていた。

1.▲8八銀     350 ( 91%)     0.511    166勝    159敗
 2.▲6八銀      17 (  4%)     0.625     10勝      6敗
 3.▲6六歩       7 (  1%)     0.571      4勝      3敗

▲8八銀が次の一手の9割を占めているが、これには理由があり、▲8八銀自体がソフトの定跡として登録されていたため。

今後は、この局面での指し手の比率は大きく変わっていくだろう。

▲8八銀よりも▲6八銀のほうが指されるようになり、また▲6六歩からの雁木模様の将棋が増えていくに違いない。

そして、後手も△7七角成から角換わりにする将棋だけでなく△4四歩から角交換拒否にして雁木模様の将棋にすることが増えるはずだ。

昨日の対局で阿久津八段は10手目△7七角成に29分の長考。

阿久津八段の考慮には△4四歩との比較が含まれていたと想像するのは難しくない。

数年前までは当たり前だと思われていた△7七角成も最善かどうかはわからないのでここでの長考はプロの一手も妥協したくないという凄みを感じた。

ponanzaやブレンド評価関数を使ったソフトが示しはじめた、角交換拒否の将棋の可能性。

雁木という人間が古来から指し継いで来た戦法を現代風にアレンジ(△3三角・△6三銀型)したものが復活する様相はとてもワクワクする。

今後も将棋の序盤戦術には目が離せない。