はじめに
今回の記事は次のような方に特におすすめである。
・まだほとんどの人が研究していない戦法を新たに開拓したい
・コンピュータ将棋特有の変わった戦法が大好き
・未来の定跡を先取りしたい
また今回紹介するユニーク戦法にはできるかぎり戦法名はつけないようにした。
これを今読んでいるあなたがぴったりとした戦法名を見つけてくることを期待する。
では早速見ていこうと思う。
戦法の紹介
ユニーク戦法その1
動く将棋盤は以下のリンクから
https://shogi.io/kifus/219150
(初手からの指し手)
▲7六歩 △4二玉 ▲6八銀 △8四歩 ▲6六歩 △8五歩 ▲7七角 △7四歩 ▲6七銀 △6二銀 ▲6五歩 △7三桂(途中図)
▲6六銀 △5二金右 ▲6八飛 △3二玉 ▲4八玉 △1四歩 ▲1六歩 △4二銀 ▲3八玉 △5一銀左 (途中図)
▲5八金左 △9四歩 ▲9六歩 △5四歩 ▲2八玉 △3一角(下図)
対ノーマル四間飛車から鳥刺しを思わせる2016Ponaの駒組み。
しかし銀を4四に上がらず、5一に引いて角筋を通した。鳥刺しと引き角をミックスしたような指し方で面白い。
この指し方の長所としては
・従来の鳥刺しに比べて横からの攻めに強い
・鳥刺しに比べて銀の動きの手数が1手早い
(今回の戦法 2手 4二→5一)
(鳥刺し 3手 4二→5三→4四)
といったところか。
(上図からの指し手)
▲8八飛 △6四歩 ▲同 歩 △同 角 ▲6五歩 △5三角 ▲3八銀 △6三銀 ▲5六歩 △6五桂 ▲6八角 (途中図)
△6四歩 ▲6七金 △6二銀 ▲5五歩 △8一飛 ▲7七桂 △同桂成 ▲同 角 △3五角 ▲7八飛 △5三銀 ▲3六歩 △4四角(下図)
先後ともに桂馬を交換して両者まずまずの展開。
この後は小競り合いが続いた後、後手が端攻めをして最後は後手が勝利している。
この将棋の総棋譜は以下から
ユニーク戦法その2
動く将棋盤は以下のリンクから
https://shogi.io/kifus/234831
(初手からの指し手)
▲7八金 △3四歩 ▲1六歩 △4四歩 ▲6八銀 △3二銀 ▲6六歩 △4三銀 ▲6七銀 △4二飛 ▲9六歩 △9四歩 ▲5六歩(途中図)
△6二玉 ▲5八金 △4五歩 ▲4八銀 △3三角 ▲7九角 △7二玉 ▲6九玉 △8二玉 ▲6八角 △7二銀 ▲7九玉(途中図)
△5四歩 ▲5七銀 △6四歩 ▲8八玉 △4四銀 ▲2六歩 △5二金左 ▲2五歩 △5三金 ▲9八香(途中図)
△5五歩 ▲同 歩 △同 銀 ▲5六歩 △4四銀 ▲9九玉 △5二飛 ▲8八金(下図)
この戦法は初手▲7八金として相手が振り飛車にしてきた際に有効である。
居飛車穴熊はその堅さが強みだ。しかしその反面、金銀が左辺に偏るためにバランスを取るのが難しく、振り飛車に抑え込まれて完封負けした経験がある方は多いと思う。
そこでこの戦法だ。実質囲いは8八金の1枚。しかし穴熊の遠さを活かして、その他の金銀を中央に配置することによってバランス感覚を保っている。
(上図からの指し手)
△6三金 ▲3六歩 △7四歩 ▲5九角 △3五歩 ▲3八飛 △3六歩 ▲同 飛 △3五歩 ▲3九飛 △7三桂 ▲6八角(途中図)
△8四歩 ▲4六歩 △6五歩 ▲同 歩 △4六歩 ▲同 銀 △6六歩 ▲同 銀 △5六飛 ▲5七銀左 (途中図)
△5四飛 ▲5六歩 △6五桂 ▲4五歩 △5三銀 ▲5五銀(下図)
この戦法を指された振り飛車党は従来の形よりもさばきにくさを感じ、指し手の方針に戸惑うはずだ。
実戦は中央に銀を繰り出し、先手まずまずの展開。実戦もこの後先手が勝利している。
面白い指し方ではあるがバランス重視の形の為、玉型は薄いので自陣の受けには注意しよう。
この将棋の総棋譜は以下から
この戦法の参考記事
www.fgfan7.com
ユニーク戦法その3
動く将棋盤は以下のリンクから
https://shogi.io/kifus/234832
開始日時:2016/09/24 19:00:03
棋戦:wdoor+floodgate-600-10F+nozomi_i7-4510U+SM_FuriBisya_only_6700K+20160924190003
先手:nozomi_i7-4510U
後手:SM_FuriBisya_only_6700K
(初手からの指し手)
▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △4四歩 ▲6八玉 △4二飛(途中図)
▲7七角 △6二玉 ▲2五歩 △3三角 ▲7八玉 △3二銀 ▲8八玉 △4三銀 ▲9八香 △5四銀 (途中図)
▲9九玉 △6五銀 ▲2六飛 △9四歩 ▲9六歩 △8二銀 ▲8八銀 △9三銀(下図)
最後に紹介するのはfloodgateの将棋から。Twitterでも反響の大きかった将棋だ。
後手のノーマル四間飛車から先手が一目散に居飛車穴熊に囲ったところ、後手が何やら妖しげな銀の繰り出しをみせている。トマホークのようでいて少し違った趣だ。
では実戦の進行を見てみよう。
(上図からの指し手)
▲7八金 △8四銀 ▲5九金 △8五銀 ▲7五歩 △7六銀右 ▲4八銀 △7二金 ▲8六角 △5二金 ▲6九金 △4五歩(途中図)
▲7九金寄 △9三桂 ▲5九銀 △4三金 ▲5八銀 △4四金 ▲6八角 △3五金 ▲2八飛 △8四歩 (途中図)
▲5六歩 △4六歩 ▲同 歩 △9五歩 ▲同 歩 △5六銀 ▲2四歩 △同 歩 ▲5五歩 △8五桂(下図)
まるで振り飛車版カニカニ銀といった感じである。
先手は玉型を固めたものの、後手の抑え込みに対して全く手が出せない。
まさに穴熊の姿焼きとなった本局は振り飛車の会心譜といってよいだろう。
居飛車だけでなく振り飛車にもまだまだ可能性はある。
そう感じさせてくれる一局だった。
この将棋の総棋譜は以下から
将棋ユニーク戦法一挙公開のまとめ
今回は3つのユニーク戦法を紹介した。
まだまだサンプルとなる対局数も少なく未知数の戦法だが、未来では定跡化されるかもしれない。今から楽しみだ。
この記事をきっかけに、コンピュータ将棋は面白いなと感じていただければ嬉しい。
↓参考書籍
こちらも書籍もユニークな戦法が満載でおすすめ。