はじめに
ShogiGUIはフリーの将棋ソフトを使えるGUIソフトとして多くの将棋ファンに愛用されている。
検討用途としても豊富な機能があり、棋力向上のための検討ツールとして非常に有用である。
今回の記事ではShogiGUIの「パス機能」を使った効果的な検討方法を紹介していきたい。
パス機能を使った効果的な検討方法
・まずShogiGUIで検討したい棋譜を開く。
・検討ボタンを押して検討モードにする。
※なお、1/24時点で私はdolphin1とNNUEkai7を使用している。
導入の参考記事(他サイト)
2019年1月現在最強将棋エンジン「dolphin1/NNUEkai7」を導入する | 右玉NOW
・私は検討モードの設定で候補手の数を3手としている。
理由としては1手では最善手のみしかわからずその他の有力手がわからないことと、3手以上候補手を増やすと検討の読みの精度が落ちてしまうのが理由。
ただ、他の方にも使用方法を聞いてみたところ、5手に設定しているという人もいた。
そこら辺は自分でいろいろ試してみてしっくりくる候補手の数に設定にしたらいいと思う。
・検討モードで手を進めていき、気になる局面でいったん進めるのを止める。
この局面を通常の状態で検討モードを使ってソフトに思考させてみる。
後手の最善手は△4二馬で後手有利(-513)と読んでいる。
次善手は△3五馬でこれも後手有利(ー491)の判断となっている。
実戦はここで後手は△3五馬と指している。
△4二馬も△3五馬も馬を先手の飛車から逃した一手だ。
ではこの局面で後手が馬を逃さなかったらどうなるのかを検討してみる。
・編集→パスを選択する。
後手が一手パスして先手の手番になった局面だが、ここで先手の最善手はやはり後手の馬を取る▲2四飛となっている。(評価値は先手有利+435)
以下の進行例として、△同 歩▲4六角△4九飛▲6一角△7一飛▲8三角成 △8五桂▲3七桂△9六歩▲同 歩△7五歩▲2三歩△同 玉▲2五歩(参考図)と進むのが一例で、先手の駒が上手く機能して働いている展開である。
よって、59手目▲2八飛の局面は次に先手が▲2四飛を狙っているので後手はそれを避けて△3五馬と指した、という局面判断がShogiGUIのパス機能を使うと判明する。
さらに進んだ実戦の下図の局面。
ここでは後手が優勢で最善手は△2五桂で評価値はー1341となっている。
また次善手は△9二飛、3番手の読みは△6四桂となっており、どれも後手優勢の判断となっている。
ここでの後手の読みとして挙がっている△2五桂、△9二飛、△6四桂には先手のある狙いを消した共通点がある。
それを調べるためにまたこの局面でパス機能を使ってみる。
後手番でパス機能を使ったので先手番の局面になっている。
先手にはここで▲6四桂という狙いがあった。(評価値は先手+601で先手有利)
△同銀なら▲3六角が王手飛車取りとなって厳しい。
また、△7一飛も▲5二桂成△同銀右▲8二角以下先手の攻めが続く。
よってパス機能を使う前に戻ると後手はこの局面で▲6四桂を防ぐ必要があることがわかる。
そこで候補手が△2五桂、△9二飛、△6四桂となるわけだが、それぞれの意味合いとして、△2五桂は▲3六角が王手になるのを防いでおり、△9二飛は飛車を王手飛車のラインからそらしている。また、△6四桂はそもそもの6四に桂を打つスペースを消しているわけだ。
このように△2五桂、△9二飛、△6四桂の候補手それぞれには次の先手からの▲6四桂の筋を未然に防ぐという明確な意図があったことがわかる。
これもShogiGUIに搭載されている「パス機能」を有効に活用した一例であると思う。
この将棋の関連記事は以下から
ShogiGUIの「パス機能」の効果的な使用方法まとめ
・パス機能は次の相手の狙い筋を調べるのに有効である。
・パス機能を使って候補手と評価値を確認してから、あらためて通常の手番に局面を戻すと相手の狙い筋を防ぐ指し方がより理解できる。
・候補手は複数の手を調べる意味でも3~5手くらいで検討させるのがよい。