アマチュアの公式戦での大活躍
今年度のアマチュア将棋プレイヤーの公式戦での活躍には目を見張るものがある。
具体的には、銀河戦での折田翔吾アマと木村孝太郎アマの予選ブロックでの連勝記録は現在もなお続いており、決勝トーナメント進出の可能性も極めて高くなっている。
以下関連ツイート
折田アマ
予選5回戦で折田アマが堀口七段に勝利! pic.twitter.com/i5uBjaoZGU
— suimon (@floodgate_fan) January 22, 2019
銀河戦予選Aブロック。
— suimon (@floodgate_fan) January 22, 2019
折田アマは6回戦で豊川孝弘七段と対戦。
(放送日2019/02/19) pic.twitter.com/LffvLOtGJV
木村アマ
銀河戦、木村孝太郎アマが予選4回戦も勝利! pic.twitter.com/yCcSRolDx4
— suimon (@floodgate_fan) January 15, 2019
銀河戦、予選Gブロック。
— suimon (@floodgate_fan) January 15, 2019
木村アマは5回戦で増田康宏六段と対戦。 pic.twitter.com/hJkDYB1BUv
その他の棋戦でも今年度はアマチュアプレイヤーの活躍が目立っている。
今回の記事ではそのアマチュアの活躍の理由を考えていきたいと思う。
リアルタイム中継による研究環境の向上
現代は情報化社会といわれており、将棋界もその例外ではない。
プロ公式戦の注目局はスマートフォンの連盟モバイルアプリでリアルタイムで中継されている。
また、AbemaTVやニコニコ生放送といった動画でのライブ中継も頻繁に行われている。
よってプロ公式戦の棋譜は以前と比べて圧倒的な速さで私たち将棋ファンに共有されていくのである。
また、プロ公式戦の棋譜だけでなくfloodgateという名称のコンピュータ将棋同士の対局がリアルタイムで行われているサイトがあり、その対局をスマートフォンからリアルタイムで閲覧できるアプリも配信されている。
このような便利なアプリが配信されたのと、ひとり一台スマートフォンを所持する時代とが重なり、圧倒的に質の高い棋譜を素早く手に入れることが可能になった。
このような影響がアマチュアプレイヤーにも好影響を与えていると私は考えている。
参考記事(以前にnoteに書いた記事)
実戦不足を解消させた対戦アプリの充実
私が10代の頃は対局をしようと思ったら、将棋センターに行くか、パソコンの前に座ってインターネット経由で対戦サイトに接続するしか方法がなかった。
しかし、前項に続いて近年またしてもスマートフォンの影響で自分の好みにあった対戦アプリが選べるようになっている。
主な対戦アプリとして有名なのが、
・将棋ウォーズ
・将棋倶楽部24
・将棋クエスト
である。
この中で私は将棋クエストを主に使用しているが、自分が気に入った対戦アプリを使用すればいいと思う。
以下、簡単にそれぞれの対戦アプリの特徴を記す。
・将棋ウォーズ
- エフェクト等の演出が凝っている
- 棋神解析など局後の検討モードが充実している
- 対戦相手が多く待ち時間がほとんどなく対局できる
・将棋倶楽部24
- 持ち時間が長くじっくり考えて対局できる
- 昔からある老舗対戦サイトであり根強い人気がある
- とても強いソフトが常駐している
・将棋クエスト
- 盤面等の見た目がシンプルで好みの人が多い
- 2分切れ負けがあり、さくさくと対局できる
- 局後に検討モードで技巧2のヒントがみれる
それぞれに良さがあるので併用してもいいだろうし、ひとつにしぼってたくさん指すのもよいと思う。
冒頭で紹介した折田アマはYouTuberとしても活動しており、将棋ウォーズの実況動画も頻繁に配信している。木村アマもネット将棋では七段の棋力があると銀河戦の番組内では紹介されていた。
使用する対戦アプリや持ち時間、そしてどれくらい対局をこなすかには個人差はあれど、多くのアマチュア強豪はネット対戦を通じて実戦感覚を磨いているのは間違いのない事実である。
以前は(私が大学生の頃は)パソコンからしかネット将棋はできなかったし、対戦サイトもあまり選べる状況ではなかった。
今は、スマートフォンで好きな時間に場所を選ばずに対局ができるので棋力向上には恵まれた時代であると思う。
フリーで使える将棋ソフト、将棋GUIソフトの普及
今までで説明してきた分野もアマチュア将棋プレイヤーの棋力向上に多大な影響を与えてきたと思うが、この項で説明するフリーで使える将棋ソフトの影響がかなり大きいのではないかと考えている。
Bonanza6.0が公開されたときも衝撃だったが、その後Aperyがフリーで公開されたのをきっかけとして、多くのフリーソフトが強くなるにつれ次々に無料で公開されていった。
そしてそのフリーソフトは将棋所やShogiGUIといった無料で使えるGUI上で検討や解析に利用できるようになった。
特にShogiGUIは検討に便利な機能も多く、プロ、アマ問わず多くのプレイヤーが愛用している。
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序盤や中盤で形勢判断が難しかった局面でもソフトに検討させればある程度の指針がわかる。(ソフトの形勢判断や指し手を盲信するか参考程度にするかは人それぞれだ)
また、フリーソフトの導入にはある程度のパソコンスキルや知識が必要で、その為に今までソフトの導入をあきらめざるを得なかった人たちもいた。
しかし、マイナビ出版が昨夏に発売した「将棋神 やねうら王」を購入すればパソコンのスペックさえ満たしていれば容易に最強クラスのソフトを自分のパソコンに導入できるようになった。
Androidではスマートフォン上で検討できるShogiDroidというアプリもリリースされており今後ますます検討が便利になっていくことが予想される。
(あの藤井聡太七段も高性能のスマートフォン上でこのShogiDroidを愛用しているそうだ。)
圧倒的な棋力を持つ将棋ソフトを検討に導入したことで、アマチュアの棋力向上は今後もますます進んでいくだろう。
アマチュア強豪の将棋に対する情熱
つい最近、Twitter上でとても話題になったツイートがあった。
それは下記のツイートである。
自分が代表なる前実際やってた事詰め将棋パラダイス毎月全問解答将棋年鑑棋譜並べ1日30局、詰めパラ以外で簡単な実戦詰め将棋3手5手1日100問以上、得意戦法を決めて序盤を研究、定跡本読む、1日に終盤次の一手問題、必至問題、10問以上解く、自分の実戦を棋譜ノートに書き検討これぐらい最低限必要かな pic.twitter.com/qvvIBt3HTK
— 木村秀利 (@q53AYsmBorYaSxW) January 4, 2019
木村秀利アマは全国大会優勝経験をはじめ、何度も一般大会の県大会で代表になっている一流のアマチュア強豪のひとりだ。
その木村アマが「将棋の県代表になるために必要な勉強法を教えてください」という質問に対して上記のように回答していた。
アマチュア強豪は将棋が好きで日々将棋に対して情熱を費やしている方ばかりであるが、木村アマの回答はそれを如実に表していると思う。
私の下記のツイートにも多くの方が共感してくれたようだ。
私の知る限りアマチュア強豪は将棋が「好き過ぎすぎる」人達ばかり。
— suimon (@floodgate_fan) January 23, 2019
「好きこそものの上手なれ」という言葉通りかもしれない。
とにかく少しの時間さえあれば将棋の勉強ができる時代である。
今年度のアマチュアの活躍は将棋に対する情熱がもたらした要因もかなり大きいと思う。
【アマチュアの全体のレベル(特に首都圏)が上がっているというツイートを見ての所感】
— suimon (@floodgate_fan) November 30, 2018
ここ10数年で変化した事は
・年齢制限に関係なくプロに編入する道ができた
・スマートフォンが普及した
・それに伴う将棋アプリが充実した
・フリーソフトのハイレベルな棋力により個人での研究環境が整った
まとめ
今回のコラムではアマチュア強豪が公式戦で大活躍している要因を深堀りしていったが、棋力向上の環境が整ったことと、将棋に対する情熱がかけ合わさって相乗効果が生まれたのが最大の理由であると思う。
銀河戦での折田アマ、木村アマの活躍をはじめその他のアマチュアも日々研鑽に励んでいる。
今後もアマチュアの快進撃に注目していきたい。