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コンピュータ将棋研究Blog

Twitterアカウントsuimon@floodgate_fanによるコンピュータ将棋研究ブログです。

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【コラム】3つのジャンル別 棋譜鑑賞をする際のポイント

コラム

 

はじめに

現在はスマホやそれに付随するアプリの普及により、今までよりも手軽に棋譜鑑賞ができる時代になりました。

私が毎日リアルタイムで更新される棋譜を鑑賞する際に心がけているポイントを、

・人間対人間(連盟モバイルアプリ)

・人間対ソフト(将棋ウォーズ2016Pona)

・ソフト対ソフト(floodgate)

の3つのジャンル別に紹介していきたいと思います。

人間対人間(連盟モバイルアプリ)

連盟モバイルアプリでは毎日、主に10:00から5局前後のプロ棋戦が中継されています。

ほぼリアルタイムで指し手が鑑賞できるので加入している方も多いと思います。

このモバイルアプリを見る際のポイントを私なりに説明します。

序盤戦術に注目する

熱心な将棋ファンであればそれぞれの棋士の棋風や戦型選択の傾向を熟知していると思います。

そういった背景を理解していると、序盤戦術における少しの変化にも気づきやすいです。

最近はソフト流の指し方を取り入れる棋士も増えてきているので、数年前よりも戦型の予想は外れることが増えてきました。

観る将棋ファンの方も大まかでいいのでソフトの序盤戦術の傾向を知っておくと、より今のプロ棋戦を楽しめると思います。

消費時間に注目する

連盟モバイルアプリは指し手の消費時間も細かく表示されています。

例えば、序盤であまり時間を使っていない棋士がいた場合それは事前に研究済みである可能性が高いです。

逆に序盤から多く時間を使っている場合は想定から外れていたり、一手一手が勝敗に直結する重大な局面であると予想されます。

あまり棋力の高くない方は一手ごとに中継記者の方による解説コメントを参照すると理解しやすくなると思います。

人間対ソフト(将棋ウォーズ2016Pona)

次に人間対ソフトをみていきます。

私がこのジャンルを見るのは将棋ウォーズの2016Ponaの将棋が圧倒的に多いです。

その理由としては、

・2016Ponaは入手できる将棋の棋譜の中でも参考になるポイントが多い(特に序盤)

・今まで将棋ウォーズで2016Ponaが指した将棋は4500局近くあり、幅広い戦型の棋譜が見れる

などが挙げられます。

独創的な序盤戦術

2016Ponaの将棋は序盤から今まであまり見なかった構想が多いです。

特に今まで定跡党だった方には目からウロコの構想が多いので新たな発想のヒントを得るには最適だと思います。

相居飛車のみならず、対振り飛車でも参考になる構想が多いので多くの将棋ファンが参考になるはずです。

ソフト対ソフト(floodgate)

最後にソフト対ソフトの将棋についてです。

ソフト対ソフトの将棋を見る際に手軽なアプリはiOSの場合は「floodgate」アプリ、

Androidの場合はfloodgate公式サイトの棋譜一覧から「ぴよ将棋」や「ShogiDroid」で鑑賞するのがオススメです。

このfloodgateも30分毎にリアルタイムで様々な強さ、棋風のソフトが対局を繰り返しています。

戦型の傾向

本記事ではレート上位同士のソフトの対戦を想定して書いていきます。

最近のfloodgateにおける戦型の傾向としては横歩取り、角換わりが依然として多い傾向にあります。

これはソフト用の序盤定跡で優秀とみられている「まふ定跡」の影響や、そもそも初手からソフトに思考させた場合でも横歩取り、角換わりに進むことが多いことに起因しています。

初手から思考させると待ち時間が減ってしまい中終盤でミスが出てしまいやすくなるので、強力な序盤定跡を搭載して時間の節約や少しでも序盤戦で評価値を高くできるように苦慮されているわけです。

そんな中でも振り飛車を指すソフトもいます

そういったソフトは名前に「furibisya」と入っているので見つけるのも容易でしょう。

またそういった振り飛車専門のソフトはレートの高いソフトが多いので棋譜の質も非常に高いです。

よって居飛車対振り飛車の対抗形の将棋や相振り飛車の将棋も指されていたりします。

指される将棋の特徴

floodgateで指される将棋は上位同士の対局の場合、互いに大きなミスが出にくいので中盤戦以降も形勢が均衡した将棋が多くなる傾向にあります。

対局中のソフトによる自己形勢判断(評価値)も一手ごとにわかるので参照するとよいでしょう。

またfloodgateは待ち時間が短いので終盤での時間切迫による逆転も起こるときがあります。

これは自分が対局する際の逆転のテクニックを学ぶ題材として有益となるので終盤まで形勢が拮抗しているfloodgateの将棋は最後までみてみるのをオススメします。

たまにサプライズがあるかも?!

floodgateは基本的に将棋電王トーナメントや世界コンピュータ将棋選手権前に調整の意味で放流する開発者の方が多いです。

よってそれらの大会前はいつもよりfloodgateは注目されます。

過去の例としては技巧が突如現れた時は大変盛り上がりました。

また、最近はfloodgateでは見る機会が極端に減ったponanzaやNineDayFeverといった強豪ソフトも世界コンピュータ将棋選手権前にはちょろっと姿を現わすかもしれません。

そういったサプライズも楽しむのもfloodgateの醍醐味の1つです。

まとめ

今回は

・人間対人間(連盟モバイルアプリ)
・人間対ソフト(将棋ウォーズ2016Pona)
・ソフト対ソフト(floodgate)

の3つのジャンル別に私が棋譜鑑賞をする際に意識しているポイントを紹介しました。

これら3つはそれぞれいいところがあります。

それらのいいところに着目して棋譜を鑑賞するとより将棋が楽しめますし、棋力アップにも繋がると思います。

便利な時代なのでいい教材はたくさんあります。

楽しみながら棋力を向上させていきたいものですね。

 

【四間飛車破り】クルクル角次の一手問題集①

序盤 中盤 四間飛車

はじめに

 以前紹介した四間飛車に対する有力な戦法であるクルクル角

www.fgfan7.com

この戦法は将棋ウォーズやfloodgateにおいても実戦例が非常に少ない。

よって今回の記事の作成には自分の保有しているPCで指定局面を作成し、ソフトに連続対局をさせることによって題材を集めた。

では始めていきたい。

第1問

【四間飛車破り】クルクル角次の一手問題集 第1問 | Shogi.io(将棋アイオー)

f:id:fg_fan7:20170320154117p:plain

 先手クルクル角から左美濃に組んだ序盤の局面。

どのような方針がよいだろうか?

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【第1問解答】▲2四歩(解答図)

f:id:fg_fan7:20170320154325p:plain

ここは▲2四歩と仕掛ける手が成立する。

以下、△同 歩 ▲同 角 △2二飛 ▲3三角成 △2八飛成 ▲同 銀 △3三桂 ▲3四歩
△同 銀 ▲3一飛 △3八飛 ▲1六角 △2八飛成 ▲3四角(下図)

f:id:fg_fan7:20170320154502p:plain

と進んで先手やや有利となった。次に▲5二角成△同金▲7一銀の筋が残っている分、先手ペースである。

第2問

【四間飛車破り】クルクル角次の一手問題集 第2問 | Shogi.io(将棋アイオー)

f:id:fg_fan7:20170320155505p:plain

中盤の局面で先手は高美濃に組み上げた。

陣形は先手のほうが形がいいので上手く攻めることができれば優勢になりそうな局面だ。

攻めの継続を図る一手は?

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【第2問解答】▲4七銀(解答図)

f:id:fg_fan7:20170320155724p:plain

▲4七銀が攻めに活を入れる好手。取れば▲3五飛が幸便である。

実戦は△3七歩と指したが以下、▲3六銀 △同 金 ▲5八飛 △4七金 ▲5六飛 △3八歩成 ▲5四歩 △同 歩 ▲同 飛(下図)

f:id:fg_fan7:20170320155936p:plain

と進み、攻めの継続に成功した。

第3問

【四間飛車破り】クルクル角次の一手問題集 第3問 | Shogi.io(将棋アイオー)

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中盤の局面。先手から攻め方がいろいろありそうな局面だが、どうように攻めるのが効率がいいだろうか。

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【第3問解答】▲2五歩(解答図)

f:id:fg_fan7:20170320160749p:plain

問題図で▲3三銀不成は△同桂と取られて2六の角が使いにくいので形勢は難しい。

ここは▲2五歩と打つのが面白い一着だ。△2二飛なら▲3三銀成△同桂▲4四角で先手好調。実戦は△3四飛と指し以下、

▲3五歩 △2四角 ▲3四歩 △4六角 ▲1八飛 △2八歩 ▲2二飛(下図)

f:id:fg_fan7:20170320161442p:plain

と進んで先手やや有利となった。ややトリッキーな攻め方だが、このような筋も時には成立する。

第4問

【四間飛車】クルクル角次の一手問題集 第4問 | Shogi.io(将棋アイオー)

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中盤の局面で互いに攻めの形を築きにくい局面だ。

となると先手の方針はどのようなものだろうか。

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【第4問解答】▲8六歩(解答図)

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攻めるのが難しいのならさらに固めてしまうのが有力である。

その第一歩が銀冠を目指す▲8六歩となる。

以下、△6三銀引 ▲8七銀 △6四銀 ▲3七桂 △9二香 ▲5九銀 △5四歩 ▲6八銀 △5五歩 ▲同 歩△同 銀 ▲5六歩 △6四銀 ▲7六歩 △9一玉 ▲7八金 △7三銀上 ▲7七銀(途中図)

f:id:fg_fan7:20170320162732p:plain

△8二銀 ▲9八香 △7一金 ▲8五歩 △4二角 ▲9九玉 △5四金▲6八角 △3三角 ▲8八銀 △7五歩 ▲同 歩 △7二飛 ▲2四歩(下図)

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と進んだ。左美濃→銀冠→銀冠穴熊とどこかで見たことのある囲いの進展である。

十分固めた後に▲2四歩から仕掛けていきまだまだ互角ながら先手がうまく指したと言える将棋だ。

まとめ

・仕掛けのチャンスがあればどんどん仕掛けていこう。

囲いは振り飛車側と比べても互角以上の堅さなので先攻できればやや有利だ。

・仕掛けられないときは銀冠→銀冠穴熊への組み替えが有力。

じっくり固めて戦機をうかがおう。

次回に続く

対振り銀冠穴熊次の一手問題集①

floodgate

はじめに

今回から不定期に戦型別に次の一手問題を出題していこうと思う。

第一回目は対振り銀冠穴熊。

まだまだこの戦型は情報量が少ないのでこの問題集によって戦い方のエッセンスを吸収していただきたい。

出題形式は今までと同じ。

では始めていきたい。

第1問

ponanza-990XEE vs. ZAKO (2014-10-09 19:00)

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角交換型の中盤戦。先手は▲3七角と角を手放し、相手の玉に狙いをつけている。

ここでその意思を継ぐ構想は?

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【第1問解答】▲7七桂(解答図)

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▲7七桂からどんどんコビン攻めを狙っていく。

以下、△1五角 ▲同 角 △同 歩 ▲3七角 △8一玉 ▲7八金右 △6九角 ▲4八飛 △3五歩▲同 歩 △2四歩 ▲6六歩 △同 歩 ▲同 銀 △3六歩 ▲2八角 △2五歩 ▲7九金(途中図)

f:id:fg_fan7:20170318141959p:plain

ここで角を補充して

△8七角成 ▲同 金 △2六歩 ▲2三歩 △同 飛 ▲4一角△2二飛 ▲6三角成 △同 金 ▲6四歩 △6二金 ▲6三金 △6一歩 ▲6二金 △同 飛 ▲6五桂(下図)

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強襲が決まった。▲2三歩~▲4一角~▲6三角成が敵陣を弱体化させる好着となった。

第2問

YssL_1000k vs. NineDayFever_XeonE5-2690_16c (2014-06-14 20:00)

f:id:fg_fan7:20170318144110p:plain

すでに後手模様良しの局面だが、ここからさらに有利を拡大するには?

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【第2問解答】△7五歩(解答図)

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ここは相手の飛車を狙いにいくのがよい。まずは△7五歩と突き捨てる。

以下、▲同 歩 △9五歩 ▲同 歩 △同 香 ▲同 香 △7六歩 ▲5九角 △7七歩成
▲同 角 △同角成 ▲同 銀 △4四角(下図)

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と進んだ。この端で香車を捨てて攻めを継続させる手法はこの戦型で多く現れるので覚えておこう。

第3問

gpsfish_XeonX5680_12c_bid vs. TDA (2015-06-29 14:00)

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中盤の局面。うまく攻めを組み立てていきたいところだ。

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【第3問解答】△8六歩(解答図)

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開戦は歩の突き捨てからというセオリーに沿った一着。

以下、▲同 歩 △6五桂 ▲同 歩 △7七角成 ▲同 桂 △8六飛 ▲6四歩 △8九飛成
▲6三歩成 △6七歩 ▲9八飛 △8七角 ▲4八飛 △6八歩成 ▲同 飛 △6九角成 ▲6五飛 △4七馬 ▲同 金 △2九金 ▲1七玉 △1九金(途中図)

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▲3八角△1三香打 ▲6六角 △1五歩 ▲同 歩 △同 香 ▲1六歩 △同 香 ▲同 銀 △同 香 ▲同 玉 △9九龍 ▲1二歩 △同 玉 ▲1四歩 △1五歩▲同 飛 △1四銀 ▲同 飛 △1三香(下図)

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多少強引でも飛車先を突破して龍を作り、端を絡めて形勢を勝勢に持っていった。

第4問

ponanza-990XEE vs. Titanda_L (2014-10-12 08:30)

f:id:fg_fan7:20170318170100p:plain

局面は中盤の難所を迎えているところである。

後手陣の急所を突く指し手と言えばどこだろうか?

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【第4問解答】▲8五歩(解答図)

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銀冠の弱点は玉頭。そこに着目して▲8五歩と突くのが決断の一手となる。

本譜は△7五歩と攻めを緩和しようとしたが、

以下、▲8四歩 △同 銀 ▲7五角 △同銀右 ▲同 歩 △同 銀 ▲2四飛 △同 歩 ▲7六歩 △8六歩 ▲7五歩(途中図)

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△8七歩成 ▲同金右 △8六歩 ▲8三歩 △同 金 ▲8六金 △8五歩 ▲8七金引 △8六銀 ▲8四歩 △同 金 ▲7四銀(下図)

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と進み、先手一手勝ちが見込める展開となった。

銀冠と銀冠穴熊で同じ玉頭攻めになった場合、深さの分だけ銀冠穴熊に利があるとみていいだろう。

まとめ

今回は計4問を出題した。

銀冠穴熊に限った話ではないが攻め方のパターンを多く知っているほうが有利である。

仮に同一局面でなくとも、引き出しが多いと応用として活かせる場面が出てくるはずだ。

 

次回テーマに続く…

【コラム】矢倉左美濃急戦はどこにいくのか

コラム 矢倉

 

はじめに

第1期叡王戦、森内-阿部光戦で強烈なインパクトを放った「矢倉左美濃急戦」。

第1期 叡王戦本戦観戦記 森内俊之九段 対 阿部光瑠五段(君島俊介) | ニコニコニュース

そこからネット将棋でジワジワと指されるようになり、TwitterなどのSNSでも戦法の認知が高まっていった。

そして2016年前半の大流行に繋がる。

しかしここ最近はその矢倉左美濃急戦の流行も落ち着いた印象がある。

この戦法がモバイル中継で指されていてもTwitterでは別段話題になることもない。

今回の記事ではそういった背景を考察していこうと思う。

先手の対策が浸透した

流行初期の頃(2016年4月〜6月頃)は後手が短手数で圧倒する将棋が多かった。

これは明らかに先手側の目がこの戦法に対して慣れていなかったからだろう。

そして2016年7月頃から現れだした居玉+▲4六角型が矢倉左美濃急戦にとってまず1つの難敵となった。

この素早い後手の攻撃体制への牽制が有力指されるようになり採用率が増えた。

後手は右四間飛車+△5四銀で攻めようとするも先手の▲7五歩の切り返しにより、陣形が弱体化してしまうのが懸念材料となった。

後手の反撃

矢倉左美濃急戦側もこの対策に黙っているわけにはいかない。

そこで右四間飛車にはせず、△8二飛で攻めの形を構築するのが模索されていった。

・△8三飛と浮く

・△6二金+△8四飛

・△6二金+△8一飛

・△5四銀+△6三金

しかし、これらも先手の対策がしっかりとなされている限り、初期の頃のように一方的に後手が勝つという将棋は少ない。

一方コンピュータ将棋界でのこの戦法の現状は

話をいったんコンピュータ将棋界に移す。

この戦法はコンピュータ将棋界では今もなお流行している。

ソフト同士では矢倉戦になることはそこまで多くはないが、それでも矢倉に対してはこの左美濃急戦を採用するソフトは多い。

それはponanzaだけでなく、その他の上位〜中堅ソフトでもその傾向は続いている。

ponanzaで言えば、昨秋の将棋電王トーナメントや先日のアマチュアPONANZAチャレンジでもこの戦法を採用していたので現在進行形で有力な戦法だと認識している可能性は極めて高い。

4月から始まる佐藤名人との第2期電王戦でもこの戦法が指される可能性はあるだろう。

人間が指しこなすのは難しい

ソフト間では左美濃急戦側の勝率が高いのに実力が伯仲した人間間ではそうでもない。

この違いは中盤以降での戦い方のノウハウがまだまだ人間に浸透していないからだと私は考える。

この戦法は初期の頃とは異なり、盤上を広く見ないと勝てない戦法になりつつある。

後手から見て右辺だけを集中してみるのではなく、左辺の駒も巧みに使わないと攻めが切れてしまったり細くなったりしてしまう。

それを改善する具体例としては

・△1三角と活用する

・△3四飛や△2四飛の転換

・△3三桂の活用

などである。

しかし、これらは実戦でうまく組み合わせるのは非常に難しい。

でも難しいからこその魅力があり、この戦法にチャレンジする棋士が後を絶たないのだと思う。

おわりに

4/14に斎藤慎太郎七段よってこの戦法初の戦術書が発刊される。

 

常識破りの新戦法 矢倉左美濃急戦 基本編 (マイナビ将棋BOOKS)

常識破りの新戦法 矢倉左美濃急戦 基本編 (マイナビ将棋BOOKS)

 

この本によって戦法の体系化はより広まり、今後研究はさらに深まると予想される。

中盤以降の戦い方も改良が進んでいくだろう。

2017年は矢倉左美濃急戦にとって勝負の年となるはずである。

私は矢倉自体はなくならないと考えている。

しかし、序盤の駒組みの仕方は 少し今までとは変わった形で指され続けるようになるのではと思う。

今後もこの戦法の動向に注目していきたい。

 

 

【緊急企画】両成将棋と変則太閤将棋を魔女で研究してみた【電王PONANZAに挑戦】

序盤 コラム

はじめに

第2期 電王戦 直前イベント 「人類vs電王PONANZA ?だれでも所持金300万円?」 | ニコニコ動画

 

駒落ちは予想していたが、

両成(飛車・角が成った状態から人間先手で開始)

変則太閤将棋(飛車前の歩をPONANZAに渡し、人間先手で開始)

の変則ルールは予想外だった。

今回は緊急企画としてこの2つの変則ルールについて研究してみたい。

研究に使用したソフト

SILENT_MAJORITY1.24

両成将棋の研究

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ケース1

(初期局面からの指し手)

▲8六歩 △8四歩 ▲8七馬 △4二玉 ▲8八龍 △3二銀 ▲6八銀 △7二銀 ▲4八玉 △3一玉 ▲6五馬 (下図)

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両成将棋における初期局面でのSILENT_MAJORITY1.24の評価値は+1,257

このリードをいかに最大限に保ち続けられるかが勝利の鍵になる。

初手▲8六歩から▲8七馬と指し、開いた8八のスペースに龍を配置するのが有力となる。

上図最終手の▲6五馬も重要な一手でこの一手により龍筋を通すとともに、後手の金銀の活用をさまたげている。

(上図からの指し手)

△5二金右 ▲3八銀 △8三銀 ▲5六馬 △7四銀 ▲7六歩 △6四歩 ▲7七桂 △1四歩 ▲1六歩 △4四歩 ▲5八金左 △4三金 ▲3九玉 △3四歩 ▲2八玉 △3三桂 ▲6六馬 △6三銀 ▲5六歩 △4五歩 ▲5七銀(下図)

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先手は美濃囲いに組み、自然な動き。

イメージとしては角交換振り飛車のような駒組みである。

この局面でSILENT_MAJORITY1.24の評価値は+1,544まで上昇した。

(上図からの指し手)

△2一玉 ▲4六歩 △3一金 ▲4七金 △6五歩 ▲同 馬 △5四銀 ▲6六馬 △6二飛 ▲5五歩 △6六飛 ▲同 銀 △4六歩 ▲同 金 △4五銀 ▲4七金 △1三角 ▲6一飛

(下図)

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後手から飛車馬交換をして動いてきたが、先手は8八の龍が後手の角成を防いでおり隙が無い。

飛車を敵陣におろした上図の局面は先手評価値+1,743

あとは、大きなミスさえなければ勝ち切れそうだ。

ケース2

(初手からの指し手)

▲8六歩 △3四歩 ▲8七馬 △4二玉 ▲8八龍 △6四歩 ▲4八玉 △6二銀 ▲6八銀 △7四歩 ▲3八玉 △7三桂 ▲5六歩 △8四歩 ▲5七銀 △7二金 ▲2八玉 △8五歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲4六銀 △8二飛 ▲5八金左 △6五歩 ▲3八銀 △6三銀 ▲5七金

(下図)

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次は後手が▲6五馬を防いで△6四歩と突く変化をみていく。

この場合も先手は美濃囲いに組んで自然な駒組み。

後手に8筋の歩は交換されるが、それは甘受する。

(上図からの指し手)

△5四歩 ▲6六歩 △3二銀 ▲6五歩 △3三玉 ▲8六歩 △6二金 ▲6六金 △1四歩 ▲5五歩 △同 歩 ▲6八龍(途中図)

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△5四銀 ▲6四歩 △5三金 ▲5五金 △同 銀 ▲同 銀
△1三角 ▲4六銀打 △6五歩 ▲5四歩 △5二金引 ▲9六馬 △2二玉 ▲7四馬 △8六飛 ▲7八龍(下図)

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両成将棋のコツは成り駒の馬と龍を最大限に有効活用することに尽きる。

最終手の▲7八龍といった通常では効かない大駒の活用方法ができれば勝機がつかめるであろう。

上図の評価値は先手+1,766。初期局面よりも先手が有利になっている。

このような展開に上手く持っていきたいところだ。

変則太閤将棋の研究

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この変則太閤将棋におけるSILENT_MAJORITY1.24の初期局面の評価値は先手+944

両成将棋の+1257に比べるとハンデとしては313点分低くなっている。

ケース1

(初期局面からの指し手)

▲2三飛成 △3二金 ▲2五龍 △2三歩(下図)

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通常の太閤将棋とは違い、後手が初期局面で1歩を持っているので最終図で△2三歩と受けることができる。

ここからの先手の構想は多岐に渡り、序盤センスが問われるところだ。

(上図からの指し手)

▲3八銀 △6二銀 ▲7六歩 △8四歩 ▲7七角 △8五歩 ▲7八銀 △6四歩 ▲3六歩 △6三銀 ▲3七桂 △4一玉 ▲1六歩 △7四歩 ▲7五歩 △同 歩 ▲同 龍 △7二金 ▲7六龍(下図)

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先手は▲2五龍と中段に引き、7五~7六と左辺に転換した。

龍のひねり飛車でやはり通常の平手将棋よりだいぶ得をしている。

(上図からの指し手)

△4二銀 ▲6六歩 △3四歩 ▲4八玉 △3一玉 ▲6五歩 △5四歩 ▲2四歩 △同 歩 ▲2五歩 △同 歩 ▲6四歩 △同 銀 ▲2二角成 △同 玉 ▲4一角 △3三銀 ▲8五龍 △8四歩 ▲4五龍 △4二金 ▲2三歩(下図)

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先手は▲4八玉型から▲6五歩と急戦を仕掛ける。

2筋に傷を作ってから角と龍でうまく手を作った上図は先手成功の局面だ。

△3一玉には▲9六角成と指しておく。

その後は馬と龍の力を最大限に発揮できれば勝利に近づく。

ケース2

(初期局面からの指し手)

▲2三飛成 △3二金 ▲2五龍 △2三歩 ▲3八銀 △4二銀 ▲3六歩 △5四歩 ▲7六歩 △5三銀 ▲6八玉 △6二銀上 ▲3七桂 △4一玉 ▲3五歩 △5二金 ▲3四歩 △同 歩 ▲2二角成 △同 金 ▲7八銀(下図)

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次は先手が玉を左側に持っていく指し方をみていく。

先手は早い段階から3筋の歩を伸ばしていき、角交換を目指していく。

角交換し後手が壁金になったのが1つのポイントだ。

(上図からの指し手)

△8四歩 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 龍 △2三歩 ▲3四龍 △3三歩 ▲2五龍 △8五歩
▲7七銀 △7四歩 ▲7八金 △6四銀 ▲5八金 △5五歩 ▲6六歩 △5一金 ▲6五歩

(途中図)

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△5三銀引 ▲5五龍 △3二玉 ▲5六龍 △4二金 ▲4六角
△7三桂 ▲7五歩 △8四飛 ▲7六龍 △5四銀 ▲7四歩 △6五銀 ▲7三角成 △同 銀 ▲6五龍(下図)

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この変則太閤将棋におけるひとつのポイントは▲2五龍をうまく使えるかどうかだと感じる。

本局もひとつの先手の理想的な指し回しだ。

▲4六角と配置し、後手の飛車を狙っていく。

上図は後手の陣形があまりに悪形のため、先手優勢の局面だ。

このような左に玉を配置し、▲4六角から相手の飛車を狙っていく指し方も有力である。

まとめ

今回はPONANZA挑戦企画の内容にあわせて、両成将棋と変則太閤将棋について研究してみた。

両成将棋のポイントは▲8六歩~▲8七馬~▲8八龍の指し方である。

この指し方がこのルールにおいて最も有効に活用したものだと感じた。

その後は美濃囲いに組んで角交換振り飛車のイメージで指す。

実力者ならPONANZAに入っても不思議ではないと思う。

変則太閤将棋のポイントは▲2五龍を軸に上手く攻めの体制を築けるかどうかだ

早い段階での速攻も有力である。

玉は左右どちらに持っていくのも有力。

普段指しなれているほうに玉を持っていくのがよいと思う。

最後に

明日挑戦する人は頑張ってください!!

一人でも多く勝利者が現れるのを期待しています。